まだ、猫的屈辱(?)生活が続いています。
「ほら」
スプーンを口元に突き出される。
目の前には豪華な朝食のお皿が並べてある。焼きたてのパン、新鮮なサラダと果物。
そして温かな美味しそうなスープ。印度神油
それを口にする。ポタージュスープだ。
美味しい…。けど。
あの後。
喉元に足を突き入れ、グフッと咽を鳴らして、レトを仰向けに倒した後。
控えめに扉をノックする音があった。
「王よ、そろそろ用意をしませんと閣議に間に合いません」
「ラサドか、入れ」
仰向けに倒れたまま、返事をするレト。
そう言って王の寝室に入って来たのは初老の男性だった。
「カリノ、侍従長のラサドだ。前に紹介したマーシャの夫だ」
咽をさすりながら起き上がり、レトが紹介する。マーシャ…いつだったか着替えの手伝いをしてくれた人だ。
レトの回復が早い。肉球足の蹴りでは効果はやはりないのだろうか。
「ラサド、カリノだ」
ラサドという執事のような男性が、ベッドに端にちょこんと座った猫に対して、膝をついた。
初老のきっちりした黒の詰襟長衣を着込んだ素適な男性に礼を取られて少し焦る。
「カリノ様も獣王の血を継いでおられるので?」
私の目を見ながら王に聞く。
起き上がって身支度を整えている王が答える。
「いや、一時的なものだ」
「…成る程。ラサドです。お見知りおきを」
そう言って私の右手を持ち上げて口を寄せた。
「ナー(うわーーー)」
何かちょっと、お姫様気分だ。頬が少し熱くなる。嬉しい、得した気分になる。ジリアンやレト(は足の裏だったし)の時と違って。
瞬間、背筋が寒くなった。
着替え終わったレトに抱き上げられる。
「朝食を取ろう」
そして現在の屈辱的状況に陥る。
*
広い食堂に細長いテーブル。
その奥に椅子が二つ。
いわゆる主人席な所にレトが座り、その斜め前の椅子にちょこんと座っている。
テラスから少し高くなった朝日が差し込んでいて、丁度いい季節になったな、と思いながら、テーブルに並べられていく湯気の立ったスープ、ほかほかの焼きたてのパンを眺めて幸せに浸っていた。
椅子の上に立ち上がってテーブルに身を乗り出して。
気を利かせた若い給仕の男性が椅子を近づけてくれた。
パンをかじる。柔らかくて美味しい。それから、レトが森の家で獣型の時に食べていたように両手でカップを傾けてフルーツジュースを飲む。甘酸っぱさが咽にうれしい。
爪でフォークを挟んで、卵のオムレツのようなものを口元に持って行く。
そうしたら、金属と爪の相性が悪くてつるっと滑って。
カラン、と音を立ててフォークが床に落ちた。
若い給仕の男性と女性が慌ててこちらに来て、新しいフォークを持って来てくれて。
「よかったら手伝いましょう」
そう言って、給仕の男性が、オムレツをのせたフォークを口元に持って来てくれる。
美味しい。さらにもう一口。
あーんと口を開けた時。
すでに気持ちは口に蕩けるような卵を味わっていた。が入って来ない。
「代わろう、お前達はさがっていい」
低い声が頭上で聞こえたかと思うと、体が持ち上がり、椅子に腰掛けたレトの膝に腰を下ろすことになっていた。
そして食べさせられている。
誰も見ていないのがせめてもに救いだ。
スープを飲ませられる。スープはマグカップに入れ直してくれれば自分で飲めるのに。
パンも自分でかじれるのに、一口サイズにちぎったものを口にさし出される。時折自分の口にも放り込んでいる。
食べながら背後にいるレトを見上げる。
「なんだ、次は何が食べたい?」
口元についたパン屑を指で払われながら聞かれる。
<自分で食べられるよ>
「フォークを落としただろう?」
<慣れれば大丈夫だし、パンとカップに入ったものは大丈夫だから>
「給仕の男からは嬉しそうに食べようとしていたではないか」
そう言って、フォークにのせたオムレツを口元に近づけてくる。
思わず口を開ける。とろっとした卵が入ってくる。美味しいなあ。思わず目を閉じて味わう。
気がつくとオムレツがまた差し出されている。食べる。スプーンに掬われたポタージュスープが匂いを誘う。飲む。強力催眠謎幻水
気がついたら差し出されたものをすかさず食べる、啜る、飲む。
だめだこりゃ。美味しい匂いと味に、ついつい口を開けてしまう。
私はもうダメだ。餌付けされた動物だ。人としての誇りが消えた…。
「腹一杯食べたか?」
お腹を丸く撫でられる。そして屈み込んで来たレトに口端を舐められる。
手で頬をぐいっとやると嬉しそうに目を細める。
「お前、ずっとそのままでもいいな」
そう言ってぺろりと頬を舐められた。
顔を背けたら、耳にそれが繰り返されようとした時。
ノックが響く。
「陛下、そろそろ閣議の間へ」
ラサドさんの声がかかる。
「そうだな」
そう言い、立ち上がった。
するっとレトの腕から抜け出し床に降りる。
<行ってらっしゃーい!>
今日はせっかくだから猫の一日を満喫しよう。路地裏を歩いて、ひなたぼっこして、お腹すいたら綺麗なお姉さんにごはんを貰って撫でて貰って、昼寝などしてのんびりと…。
ピョーンとテラスに出ようと床を蹴った所で首根っこをつかまれた。
レトの目前でビヨーンとぶら下げられている。
「いい機会だ。お前を皆に紹介しよう」
<嫌ー!>
やめてー!
こんな姿だし。
実は全裸だし。
絶対やだあ!!
両腕でしっかりと抱きかかえられて、転移した。
ご紹介されました
非常に居心地が悪い。
こんなに気まずい気持ちになったのは初めてではないだろうか。
いたたまれないというか。
向けられる視線が痛い。
広いテーブルを十人程の男達が囲っている。ぐるりと見渡すと、見知った顔がちらほら。
右側に宰相ジリアン様、じーっと人の顔、もとい猫の顔を食い入るように見るのはやめてもらいたい。
その隣にセインさん、私を見ていきなり口を手で押さえて小さくプッと吹き出すのは失礼だ。
しかし、姿形すがたかたちが変化しても分かる人には分かるものなんだな。例の魔力の大きさとか色とか質で視みるのだろうか。
少し離れた所に癒し系のケルンさんがいる。せっかく黒騎士試験対応に色々教えてもらったのに、お礼言ってなかったな。そのケルンさんの隣に紅一点の女性が座っている。黒騎士のようだ。この場には女性一人しかいない。女性の社会進出が遅れている国なのか。
左側に赤騎士ジャディス隊長と女性に大人気の副隊長、ラムジールさん。騎士団幹部と、白い長衣の上位神官の方々。
しかし、黒騎士隊長の王弟ロシュフォールと私の先導者ということになっている白騎士副隊長モンフィス様がいない。
レトが現れた瞬間、皆が席を立ち、深く腰を折る。レトが上座に着くと、皆が静かに席に着く。
レトの膝に座らされた私は痛い程の視線を浴びていた。その視線に堪えつつも、周りの人間を一人づつ見ていく。
頭に大きな手が置かれる。
「紹介しよう。我が妃きさきになるものだ」
いきなり…!
ぎょっとする。頭上を見上げると、レトが恐ろしく美しい顔で口端だけ僅かに上げて微笑んでいる。
「異論はないな」
「ナー(ある!)」
「…そのお方は獣王の血をひいておられるので?」
私の声は完全に無視され、乾いた低い声が被かぶさった。
最も遠い席のご老人から声が掛かる。最高位の神官のようだ。
「ひいていない。血の契約をした故ゆえ、一時的な姿だ」
息を呑む音。老人達のざわめき。その中で、私を刺す様に見る目がいくつか。ジリアン様もセイン様もラムジールさんも…。
体中視線で刺されて血だらけの気分だ。痛い痛い。
赤騎士隊長だけが太い腕を組んで考え込む様に目を閉じている。まさか、寝てないよね…。
「血の契約とはまた急な。家柄は…」
「関係無い。我が認めたのだ。さらに言うならば魔力の交換もしている。完全に契約は成なっている」
あまりに低く冷たい声に静寂が降りる。
独裁政治の王様のようだ…。怖いよ、レト。
ところで血と魔力の交換とか契約って何の事かな。
そこに少し柔らかい声が入る。
「身元のしっかりした女性ですよ。私が後見人です」
ジリアン様のそんな優しい声音、滅多に聞いた事がありません。そして貴方は私の後見人でしたか…。そういえば、そう言う事にする、と見習い騎士の時に言われたような気がするけれど。後見人なら、後見人らしいところをもっと見せてください。蔵秘雄精
「宰相殿のお墨付きならば異論はありませんよ」
にっこりとケルンさんが私に笑いかける。あ、この人も気づいたな。
自分の姿を見下ろし、全裸なのを思い出して、レトが肩からかけていたマントの影に隠れる。そして首だけひょっこり出す。
マントの上から大きな手で体の側面を撫でられて、思わず頭を上げ、睨みつける。
見下ろして私の目を見ながら告げる。琥珀の色が濃くなっていて、蕩とろけそうな色気を醸し出しながら。
「これが20になったら正式に立后し国事とするが、それまでも身分は同様とする」
周囲の顔を見渡すと、皆、驚愕している。王の言った内容か、その表情の所為せいか。
「これに害を与える者、反する者は、我が意に反有りとして、我自ら対応する、よいな」
しばらくの間が有り、
「…御意」
と皆、唱える。
レトが恐い、恐い。
「人型の時に再度ご紹介くださいませ」
ケルンさんの隣の女性が言う。女性の優しい声に少し和む。
そりゃそうだ。誰だかわからないしね。
レトを再び見上げると、私の頬を指で撫でながら、片方の手で頬付き、考えあぐねている。
何故だ。
「そのうちにな」
やっと発っせられた言葉。人の私を紹介するのは嫌なのですか。
次の質問が飛ぶ。
「王弟殿下はご存知で?」
「ああ、知っている」
さらにご老人達の質問が続く。
「年齢は」
「名前は」
「家柄は」
依然、頬を撫でる指は優しいが、背後の大男が質問に答えるのが面倒臭くなってきているのが分かる。
それ以上の質問は止めた方が。きっと室内の温度が下がる。
「…その者は、私のセカンドでもありますので。それでよいでしょう」
もう一人、厄介な感情型温度調整人間がいた。右側から冷気が漂って来ているような…。紫の目がガラスのように透明感があって冷やかだ。
「宰相殿をセカンド…」誰かの呟きが聞こえる。
「どれほどの姫…」囁かれる声。
姫って…。
お。ジャディス隊長、起きていたか。そして私を見ている。
じーっと見てくるのでじーっと見返していると。
ぐいっと顎を掴まれて顔の向きを変えられた。
屈み込こみ、耳元で低く呟かれる。
「他の男をそんな目で見るな」
どんな目だ、そりゃ。
そして、ひきます、そんな台詞!
怖々(こわごわ)皆の反応を伺う。よかった。聞こえてないようだ。
あ、ジリアン様、目を閉じたこめかみが引き攣つっています。
隣のセイン、口をまた片手で塞ぎ、横を向いた。あれは聞こえた。そしてジリアン様の反応を楽しんだな…。
「では、ご正妃の初見お披露目はその位にしまして、本日の本題に入りましょう」
ケルンさんが言う。
はたして私はまだこの場にいていいのだろうか。
正騎士初日
あやうく初日の出勤から遅刻してしまうところだった。
慌ただしく指定された一室に滑り込む。額にうっすらと浮かんだ汗を手の甲で拭い席に着く。
なんとか、時間内に滑り込めた。
今日から通う所は王城内にある一画で、城のすぐ側に聳え立つ白騎士塔と言われる館だ。
塔、と言われるだけあって隣に聳え立つ城の最上階より少し低い位で、よくぞここまで石で作った、と感心せざるを得ない。五夜神
入り口から一階はホールで広い空間があり、中心が吹き抜けになっていて回りを螺旋階段が囲っている。その脇に小部屋が幾つか配置してある。
最上階が白騎士隊長あるいは白魔導士長と言われるジリアンの執務室である。普段は王城の執務室にいることが多いらしいが。
その塔の2階の比較的広い一室に新人の正騎士が集められている。
白騎士が赤騎士や黒騎士と大きく異なる点は術に長けている事だ。
それ故、白騎士は白魔導士とも呼ばれる。
その者の特質、特性により、得意な術の分野が分かれる。
1、攻撃的な術
火や水、風、光など、どの現象が得意か
2、防御的な術、防護壁を作るなど
3、治癒術
4、結界、転移が出来るか
5、術式(道具に掛ける)
他、医術、薬学(魔力が少ないものは強制的に勉強させられる傾向がある)
今日の初回の講義では自分の得意分野をしかと見極め、その部分を伸ばすことと、術式の基礎と応用の重要性を説かれている。
新たに正白騎士になったのは5名。
皆、優秀だ。見習い騎士の時に一緒に学んだから知っている。
私が皆より秀でている点は結界が張れる、その一点だけだ。後は魔力が小さいため、防御壁など短時間しか出来ないし、転移は私に取っては命がけの術である。術式も簡単なものしか理解していない。
ちなみに赤騎士には即戦力としての力が必要とされているらしい。人並み外れた体力、高い戦闘能力が必要とされていて有事の際には百人隊長として兵士を率いて戦わなければならない。
それを聞いていれば赤騎士は初めから無理だと悟っていた。
黒騎士には、白騎士と赤騎士双方の力を持っていることを前提に政治中枢に関わっていくか、文官として学術専門家になっていく。
説明を受けつつ、ノートにペンを走らせる。
ペンを持つ右手の甲に、まだ残っている歯形が目に入った。
*
<カリノ、会いに来たよ!>
微睡んでいた所、宙から飛び込んで来たのは黒い大型犬(狼)、ロシュフォールだ。
空中から現れたロシュフォールはベッドの足元の方にドスンと音を立てて着地する。ベッドが軋む音を立ててヒヤリとする。
それから私の上半身へ向かってジャンプして来た。
条件反射で受け止めなきゃ、と思い両腕を空中に差し出した所、触れるか触れないかの所で黒い大型犬が、霧散した。
跡形も無く消えた。
空中で腕をだらんとさせて、あれ?とぼんやりと思った所、その腕に金色のフワフワなレトが飛び込んで来て、顔を舐めようとしてきたので、思わず手で頬を押さえて避けたら、カプリとその手を噛まれた。
「なんで怒ってるの」
目が吊り上がっていて、未だ右手をガジガジと噛んでいる。本気で牙を立てているのでは無いのは分かっているが。
それからレトの顔が手から手首へ、腕へと移り布地越しに噛んでいる。歯形が大きな水玉のように付けられている気がする。
痛くは無いのだけれど。
「ロシュはどうしたの」
<自分の部屋に戻った>
消し飛んだように見えたのは気のせいか…。
噛まれていても眠い。今日も疲れた。
眠くって瞼を閉じてしまって、最後に首を噛まれた記憶だけある。
*
朝、温かいけど、重くて目が覚めた。
重いけど、そんなに嫌じゃない重さって不思議だなと思ったら。
自分の仰向けになった体にフワフワで温かいものがのっかっている。
レトがうつ伏せになって眠っていて、少し湿った鼻を私の首筋に擦り付けている。
そして特に柔かい毛に包まれた温かいお腹が私のお腹に貼り付いていて。
寝間着が捲れていて、お腹だけ直接レトの体温を感じている。
被っていた毛布はどこかに行ってしまったけれど、とても温かい。重いけど心地良い…。
両腕は肩にのばして置かれていて、両足までしっかり、腿を挟んで眠っている。
小さい子供が母親に縋って眠っているみたいだ。少し口が開いている寝顔もかわいい。
足元まで温かいと思ったら。VIVID
足の甲に大きな黒い塊が乗っかっていた。
私の足の甲を枕に眠っている黒い大きな犬がいる。
その頭は時折、関節を伸ばしているレトの足に蹴られている。
しかし、どちらもまだ眠っているようだった。
不思議な兄弟の寝姿だな、とぼんやり思った。
それを眺めていて遅刻しそうになったのだった。
*
「カリノ、こちらへ」
声をかけられる。新人には先輩の白魔導士が先導者として一人ついて一対一で指導される。学びつつその先導者である先輩騎士の仕事の手伝いをこなさなければならない。それぞれの新人に先輩魔導士が紹介される。20代後半位の先輩が紹介されているのだが。
私の前にずいっと現れたのは。
「よろしゅうな」
立派な顎髭を撫でながら告げる老魔導士の魔導士モンフィス、どう若く見積もっても70歳以上だった。
試験の時くらいしか顔を見たことがない。
皆、目を見開いている。
「儂についてこい」
共に室外に出る。他の新人騎士に驚かれつつ背を見送られた。
モンフィスが螺旋階段を見上げながら言う。
「儂の部屋は上から2番目の部屋じゃ。転移を使うか浮遊術を使うか、あの道具を使うか」
モンフィスが顎で指した所を見ると、遥か上から垂れているロープを握って上に上がって行く人の姿だった。井戸の水汲みのように垂れ下がっているロープは天井に滑車が付けられて回っているようだ。
ロープを掴んでいた男は適当な所で螺旋階段の手摺りに飛び乗っている。あれは、足を滑らせたら骨を折るだけで済まないのでは…。
「まあお前さんは若いし足腰強そうだから階段を駆ければいいかの」
そう言って、手摺りの無い部分から、すっと下のホールに舞い降りる。慌てて階段を駆け下り、入り口で待つモンフィスに追いつく。
息を切らして言う。
「早く浮遊術を教えてください」
「まあ、急くな。こっちだ」
道すがら幾人かの人が立ち止まり礼をするのを、片手をあげて答える老魔導士。確かこの人は副隊長じゃなかったかな。そんな人が私の先導者になってくれたのだろうか。
白騎士塔を出て歩く事、数十分。王城内にこんなに木々に囲まれた所があったのかと驚く所に、こじんまりとした畑と小さな小屋が在った。
「薬草を作る畑でな。前任者が高齢で田舎に帰ってしまったのじゃ。最近の者は魔力が強くて、なんというか上に上にと登りつめようだの、より力を得ようだの、そういう輩ばっかりじゃったが…いい所にお前さんが現れよった」
白髭のお爺さん魔導士、中々失礼な御仁のようだ。
「えーっと、私も少しは強くなって術を覚えようとしてますよ」
「そうか、そうか。ま、薬草にも強くなってくれ」
そう言って、小屋の戸を開ける。小屋自体は一間だが、小ぎれいに片付けられている。土間があり、農作業に必要な一式、道具が置いてある。
一段高くなった床の上にはテーブルと椅子が向かい合わせに一脚づつ、そしてロッキングチェアが窓際に置かれている。快適な一室だ。ベッドがあれば住み込むことも出来るくらいに。簡易的なキッチンまでついている。
書棚には薬草や植物に関係する本がぎっしりと詰まっているところが唯一の白魔導士らしい部屋のところか。
「その日誌と薬学の本を全て読んどいてくれ」
机に積まれた数十冊の本を指して言う。それから書棚に向かい、本の背に節くれ立った指をかける。蔵八宝
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