「え?」
「公爵家にいるよりは安全だし、なによりここに居れば私がリディを守ってあげられる。悪くない案だと思うけど?」
突然のフリードの提案に何も言えないでいると、意外にも兄の方が乗り気で返事をした。田七人参
「……そうだな。その方がいいかもな。うちの機関の人間よりもフリードに預けている方が絶対安心だし……リディ、そうしろ。親父には俺から言っておいてやるから」
「ちょ……ちょっと勝手に決めないでよ」
話が進んでいくのを慌てて止めようとすれば、隣からフリードも言い添えてくる。
「婚儀まで居ろとは言わないよ。安全が確認できるまでの間だけ。閉じ込めたりもしない。リディの自由に過ごしてくれていいよ」
閉じ込めないという言葉に少しだけ反応した。
それなら――――。
「……厨房に入れるように許可を取ってくれる?」
「リディ?」
意味が分からないのだろう、問い返すフリードに説明しようとすると兄が先に口を開いた。
「うん、こいつにはそれで釣るのが一番だな。フリード、リディは料理が趣味みたいなもんでな、公爵家『大福』のオリジナルレシピ保有者なんだ。厨房を自由にさせとけば、基本大人しくしてるぜ」
「あの大福の!?」
声を上げたのはフリードではなくグレンだった。
ウィルは勿論知っているので、知らないのはフリードとグレンだけだ。
驚いたと目を見張るグレンに首を傾げた。
「そうだけど、もしかしてグレンは甘いものが好きなの?」
「いえ、私はさほどでもないのですが、お付き合いのある方々からよくその名前を聞きますので。そうですか、あなたがオリジナルレシピの保有者なのですね」
感心したように言うグレンの言葉の内容がいちいち気になる。
お付き合いとか……ああ、夜のお相手のマダム達の事ね。確かに大福は特に女性に大人気の商品だ。グレンがそこから聞いたというのも理解できる。
私はひとつ頷いて提案した。
「欲しいのなら言ってくれれば作るけど?」
ウィルの弟なのだ。いつもウィルには世話になっているし、そのくらいなら構わない。だから尋ねてみたのだが、機会があればと控えめな答えが返ってきた。別に、遠慮しなくてもいいのに。
ついでにフリードの方にも問いかけてみる。
だが、フリードは残念そうに首を振った。
「いや、気持ちは嬉しいけれど私はあまり甘いものが得意ではなくてね……。でもそうか、アレクがたまに持ってきていた大福はリディが作っていたのか」
「公爵家秘蔵の料理人だぜ?」
何故か兄が自慢げに言う。
フリードは頷くと私に向かって言った。威哥十鞭王
「ならリディ。厨房には私が口添えしてあげる。だから王宮においで」
「……部屋を別にしてくれるのなら」
元々厨房を見せてくれるのなら滞在してもいいと思っていた事もあって私はそこはあっさりと頷いた。だが、一つだけ、どうしても譲れないことがある。それが部屋を分ける事だ。
「客室を使わせてくれるっていうのならここに居てもいい」
「うん、それは却下」
希望を告げてみたが、いとも簡単に一刀両断されてしまった。
フリードと同室なんて、デリスさんの薬がいくらあっても足りない。部屋に二人きりになるたびに襲われでもしたらそれこそ身がもたない。
毎日するのは……まあ構わないけど、それならもう少し回数を減らしてもらいたい。
かといって、そんな事この面子の前でいえるはずがない。
理由を言えず、結局ただ繰り返しお願いするという手段をとることになった。
「……お願い」
「ダメ」
「……滞在するなら自分の部屋が欲しい」
「どうせ近いうち同じ部屋に住むことになるんだから今のうちに慣れておくといいよ。私の部屋は広いし二人でも問題ないよね?」
そういう問題じゃない!
ぐぐぐと唸っていると、兄が気の毒そうな目を向けてきた。
うわ、絶対私が嫌がっている理由、分かってるな。
実の兄に知られているだなんて嫌すぎる。
その兄をぎりっと睨みつけてやると、気まずげに視線を逸らしつつ、それでもフリードに味方した。
「あー、その、な。お前は良くないかもしれないが俺もフリードの部屋にいた方が良いと思うぞ?」
「兄さんっ⁉︎」
理由が分かっていて、それを勧めるのか!
鬼畜兄の所業に驚きのあまり目が丸くなった。
「いやっ!そういうことじゃなくて!防犯対策だって!」
「……防犯対策ぅ?」
無慈悲にも妹を売りとばした兄に胡散臭げに問い返すと、兄はそうそうと高速で頷いた。
「フリードの部屋には超強力な結界が張ってあるんだよ。警備を強化するのが目的なんだから一番安全なところにいるのが当然だろ?」
「結界……」
その言葉に、以前カインに聞いた事を思い出した。老虎油
確かに彼も言っていた。強力な結界が張ってあると。
それならと納得しかけたところで、フリードも畳み掛けてくる。
「私の部屋にいる限り、絶対に手は出させないよ。安心して過ごしてくれていい。大体常識的に考えてもリディを客室なんかにおけるわけがないんだ。客室は一般区域にあるんだよ?すでに王族だと認定されているリディをそんなところに置いたらむしろ兵たちの混乱になる」
「王族……そっか、わかった」
無念ではあるが、フリードの言葉に同意した。
納得できる説明を聞かされてしまえば、もう仕方なかった。
既に散々迷惑をかけた後だし、兵たちを困らせてまで我を通したいわけじゃない。
王族だと既に認識されている私を一般区域に置くわけにはいかない。指摘されてしまえば至極当然の理由だった。
だが、それと部屋が一緒な事はまた別問題だと思うのだが、それも結界の話を持ち出されてしまえば頷かざるを得ない。
結局フリードの部屋にいるしかないという結論に達してしまった。
「よし、話は決まったな。さっき言った通り親父には俺から理由と一緒に説明しておく。届けてほしいものがあるなら俺に言え。ゼクスに持ってこさせるから」
「……ならとりあえず私の調理道具一式。トーマスに聞けば分かると思うから」
「分かった」
欲しいものを告げていけば、兄は忘れないようにと紙とペンを取り出しメモ書きしていった。
そんな私たちの様子をみていたグレンが立ち上がる。
「話はついたようですね。それでは私はそろそろ戻ります」
「グレン、警備の強化を忘れるなよ」
「分かっています。警備案を練り直して本日中に提出します」
顔を上げた兄がグレンにペンを向ける。真剣な顔で警備の強化を告げる兄に、グレンもまた短く了承の返事を返した。
自らの考えに耽っていたウィルも立ち上がった。
「殿下。僕も戻ります。もう少し魔具の件、調べてみるつもりです」
「ああ、頼む」
「リディ、君はどうする?……戻るのなら……送っていくが」
「あ、うん」
ウィルの提案に少し考えた。
ウィルは魔術師団の団長なので王族居住区に入る資格がある。だから彼に送ってもらうのは問題ないし、フリードと兄は執務が残っているだろう。机の上の山の様な書類を見ればそれは明らかだ。邪魔をするべきではない。だが……。麻黄
「フリード、私ここにいちゃ駄目かな?」
「リディ?」
意外な事を聞いたとばかりにフリードが目を瞬かせた。
「勿論邪魔なら戻るけど、いてもいいのなら……」
「構わないよ。……アレク?」
「ああそうだな、今日は怖い思いもしているだろうしな。知っている人間の側にいたいっていう気持ちは分かる。いいぜ、目の届くところにいれば俺達も安心だしここに居ればいい」
「……ありがとう」
ほっとしつつお礼を言い、ウィルの方を向いた。
「ごめんね。そういう訳だから。でも、ありがとう」
「……分かった。僕の方こそ配慮が足りなかった。……すまない」
「ううん」
ウィルが謝る必要はない。
これは……単に私のわがままだ。もう少し、フリードの側にいたいという。
さっきはいきなりすぎて夜の事ばかりが頭に浮かび同室になることを必死で抵抗したが、落ち着いて考えてみれば……彼と一緒に暮らす事が嫌なはずもなくて。
むしろさっきから出来るだけ側にいたい気分なので、部屋で一人フリードを待っている方が辛い。
そんなことを考えているうちに二人は自分の持ち場へと帰って行った。
兄とフリードも立ち上がり、自らの机で執務を始める。
それをソファで新たに用意されたお茶を飲みながらのんびりと観察させてもらった。
◇◇◇
しっかりと働くフリードを堪能させてもらった後は、夕食を取り二人で部屋に戻った。
相変わらず、ばくばくと心臓がうるさい。
昨日約束したし、今からするんだよねと思うと身体がかっと熱くなる気がした。
今更なのに何を照れている、自分。
やけにどきどきしながら、寝室に入る。すっかり期待してしまっている自分が恥ずかしすぎる。
フリードに抱き寄せられ、唇に軽くキスを落とされた。……甘い。
だがなぜか首に両手を回し口を開こうと思ったところで、呆気なく離された。
「え……?」
いつもと違うパターンに思わずフリードを見上げた。
フリードは柔らかい表情で私を撫で、抱きしめながらベッドに入った。
「フリード?」
ぎゅっと抱きしめながらも、彼は何もしない。
いつもなら寝室に入るや否や、恐るべきスピードで脱がされるというのにこれはどういうことだ。彼の行動の意味が分からずもう一度見つめると、フリードは私を抱きしめたままこう言った。超強黒倍王
「今日は何もしないよ」
「え」
なんで、どうして?
意味が分からず混乱していると、フリードは抱きしめた腕を少し緩めて背中を撫で始めた。性的な匂いの全くしない、労わるような仕草に、戸惑う。
「リディは今日怖い思いをしたでしょう。こうして抱き締めていてあげるから今日はもう寝よう」
「で……でも、昨日約束したし……」
何故自分の方がそんな事を持ち出さなければならないのか。そう思いつつ伝えると別にいいよと笑われた。
「そんな約束よりもリディの方が大事だからね。今日はゆっくり眠って。自覚はないかもしれないけど、思っている以上にショックだっただろうし、何より疲れていると思うよ」
「フリード……」
普通なら感動するところなのだろう。
だが彼の言葉を聞いた私は違う意味で衝撃に倒れそうになった。
そこ!わざわざ気にしてくれなくていいから!
ショックを受けたと思うのなら、それこそ抱いて慰めてくれればいいじゃないか。
私がそんな阿呆なことを考えているとは夢にも思っていないのだろう。
フリードは続ける。
「約束だからって無理をする必要はないよ。勿論好きな女性を抱きしめているんだ。したくないって言ったら嘘になるけどね。たまにはこんな日があってもいいかなって」
「……うん」
そこまで言われてしまっては、どうすることもできなかった。
私は断腸の思いで頷いた。
……何という事だ。
私はすっかりする気でいたというのに、まさかここにきてお預けを喰らう羽目になるとは考えもしなかった。
今日に限っては、抱きつぶされてもいいかなと思っていたのに!というか抱いて欲しかったのに!
「おやすみ、リディ」
「……おやすみなさい」
私を気遣ってくれているのが分かる優しい笑みをみてしまえば、それ以上何か言う事もできないわけで。
結局、悶々とした気持ちを抱えながら眠る事になったのだった。
彼の温かい体温が今日だけは憎い。
私は彼の胸元に頬を寄せながら心底思った。
……うわーん。したかったよー!
うう。切ない。ペニス増大耐久カプセル
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