2015年4月1日星期三

第二王女ファラ

日色が生命力コントロールをララシークから教わる約束を得た頃、人間界のある場所では一人の少女が眠りから目覚めていた。


「ようやく目が覚めたようじゃわい」VIVID XXL


 少女は突然耳に入ってきた言葉を発した人物に驚き、目を見張ってしまう。何故なら見たこともない人物だったからだ。刹那的に体を引いて距離を取ろうとしたのも無理はない。


「そう怯えんでもよろしいわい。わしゃこう見えてもチンチン……いや紳士じゃからわい」
「その間違いはよしてほしいですの!」


 つい少女は顔を染め上げながら目の前の老人が言った言葉に反応してしまっていた。しかし大きな声を出した反動で「うっ……」と目頭を押さえてしまう。


「これこれ、まだ大声など出してはいかんわい」


 誰のせいだと少女は言いたいがグッと抑えて周囲の状況の把握に努める。ここはどこかの小屋であり、それほど広くは無いその場には簡易式のベッドが二つほどあり、その一つに少女は寝ていた。


 どうやら今ここに居るのは、少女と頭が禿げ上がってはいるが優しそうな雰囲気を醸し出している男性の二人だけだった。


「それにしてもよく眠っとったわい。覚えておるかい? お主が城から連れ出されてあれから三日間寝込んでいたんじゃわい」


 老人の説明により自身に何が起きたのかそこでハッキリと思い出した。そして自分を城から連れ出した人物のことも……。


「……貴方は、ジュドム様のお仲間なんですの?」
「ひゃひゃひゃ、あのジュドム坊やを様扱いなど無用じゃわい。筋肉お馬鹿とでも呼ぶがよろしいわい」
「き、筋肉お馬鹿……」


 老人のあまりの言い草に少女は頬を引き攣らせている。そこへ扉が開き中へ入って来たのが、今噂をしていたジュドムだった。


「おお、目が覚めたか!」


 ジュドムはニカッと白い歯を見せてきた。少女はその笑顔を見てホッと胸を撫で下ろし、先程まで感じていた緊張感と不安が少し和らいだ。CROWN 3000


「ジュドム様……」
「……いろいろ聞きたいことがあるだろうが、まずはこれを飲め」


 そう言ってジュドムが小さな器に入っている透明なスープを手渡してきた。


「これは……?」
「薬草と果実を混ぜ合わせて作ったスープだ。薬草だけじゃないからまだ飲み易いはずだぞ」


 少女は小さく頷くと恐る恐る口をつけてゆっくり味を確かめる。確かにジュドムが言ったように苦いだけのものではなかった。ほのかな果実臭と果実の甘みがブレンドされており飲み易かった。


「まだ起きたばっかで食べ物は無理だろうが、栄養はとらねえといけねえからな」


 ジュドムは小屋の隅に置かれてある椅子を持って来て少女の近くへ腰を下ろした。


「さて、何から話せばいいか……まずファラ、生きていてくれてホントに良かった」
「ジュドム様……」


 そう、その少女の名はファラ。ファラ・ヴァン・ストラウス・アルクレイアムであり、【ヴィクトリアス】の第二王女だ。


 彼女は勇者を異世界から召喚するための魔法に失敗して二度と目覚めないかもしれない眠りの世界に取り込まれてしまっていた。


 彼女が召喚魔法を使って、そのような状況に陥ってから大分経ったが、こうして生きていてくれて良かったとジュドムは言ったのだ。


 そして彼女もまた自分が長い間眠っていたことを自覚していた。痩せ細った体、いまだに抜け切れない虚弱感、自覚するには十分な材料だった。


 だがそれでも目を覚ますことができたことは素直に嬉しかったと思っているファラ。こうして心から自分の目覚めを喜んでくれる人がいることが喜ばしいのだ。


「ファラ、まずお前が召喚を失敗して眠りについてから一年以上が経っちまってる」
「……そうですの」魔鬼天使性欲粉


 一年……言葉にすれば短いが、されど一年。自分の有り様を見て表情を暗くさせる。


「この一年で大分世界情勢が変わっちまった。それは城の雰囲気を少しでも感じたお前なら理解できるはずだ」


 それは確かにその通りだった。血相を変えてファラの自室へ踏み込んできたジュドムは、弱った自分を抱えて逃げていた。


 そして次々と追って来る血の気を失ったように真っ白な顔をした人々。城の異様な雰囲気もそうだが、よく見れば兵士が血を出して倒れていた場面も見た。


 始めはジュドムが国を裏切ったのかと思い焦りはしたが、自分を抱えている手から温かい優しさを感じて、この人は自分を守ってくれているのだと理解できた。


 そして今、何が起きたかは分からないが城に、いや国に危機が迫っているのではと推測できた。それでも運ばれている途中で意識を失い思考は止まってしまったが。


「もしかして、『魔族イビラ』か『獣人族ガブラス』が国を襲ってきたんですの?」
「……そうとも言えるし、そうじゃねえとも言える」
「……ど、どういうことなんですの?」


 ジュドムは先代魔王であるアヴォロスに【ヴィクトリアス】を乗っ取られた経緯を話す。そして『魔族イビラ』と『獣人族ガブラス』の同盟についてもだ。


 聞いている間、ファラは瞬き一つせず固まったように耳を傾けていた。


「は、話が大き過ぎて理解が追いつきませんですの」
「ハハ、だろうな。……けどな、一番きっつい話はまだあるんだわ」
「……え?」
「……いや、この話はお前の体調がもっと落ち着いてからした方がいいな」


 ジュドムはそう言い立ち上がろうとしたが、


「ジュドム様、聞かせて下さいですの」
「ファラ……けどこの話はお前が思ってる以上に重いぞ?」
「構いませんわですの。わたくしは【ヴィクトリアス】第二王女ファラ・ヴァン・ストラウス・アルクレイアムですの。国事から目を背けるわけには参りませんですの。重い話なら尚更……」D8媚薬


 それはとても強い目だった。頬はこけて、目の周りも少し窪みができて明らかに生気が弱っているというのに、瞳に込められた光りは眩しく輝いていた。


「……ハハ、相変わらず王女の中でお前だけだな、そんな頑固で真っ直ぐなのは」
「……もしかして馬鹿にされていますの?」


 ムッと口を尖らせてファラは言うが、


「アハハハハ! 褒めてんだよ! お前ならどんな話でも受け止められると思ってな!」
「もう、ジュドム様のいけずですの」


 頬を膨らませてそっぽを向く。


「悪い悪い、けど心して聞けよ」
「……はい」


 ジュドムは勇者が第一王女リリスによって召喚された出来事から今までのことについて、かいつまんでファラが理解できるように話した。


 勇者召喚、同盟会談、戦争、様々なことを人間は……いやルドルフ国王は行った。そしてそのルドルフが醜い化け物の姿にされて、恐らく今はアヴォロスのもとにいるだろうことも全て話した。


 ファラは目を閉じながらその話を聞いていた。唇だけでなく全身を小刻みに震わせているが、何が彼女の体をそうさせているのかは正確なところはジュドムにも分からなかった。


 話し終えると、ファラの額からはじんわりと汗が噴き出ていた。見るからに衝撃を受けている顔つきだった。


「……少し休むか?」
「い、いいえ……お話しして頂いて感謝致しますの」アリ王 蟻王 ANT KING


 強張った表情をしているファラの顔を見て、ジュドムはそっと彼女の頭に手を当てる。


「…………強がんな。一気に話されたんだ。頭と心の整理がそう簡単につくわけがねえ」
「…………はい」
「国に起こっていること、そしてこれからのことはみんなで考えりゃいい。お前は一人じゃねえんだ。今はこうして俺や、俺の仲間たちがいる」


 ジュドムは安心させるような笑顔を浮かべ、ファラもまた微笑を返す。だがファラはそこでふと思い出す。


「あ、そう言えばここへ連れて来られる前、綺麗な女性のお方にお助けして頂いた記憶がありますがあのお方は……」


 ファラはそう言うが、ジュドムは苦笑を彼女に向けると頭をかく。


「ああ、あの女のことか。アイツなら自分のことはファラが目を覚ましてから教えるとか言ってたぞ。もしかして知り合いか?」
「い、いいえ、記憶にありませんですの」
「あの女、俺たちを亡者どもから救ってくれたのはいいが、突然一言言うと消えちまいやがった」
「一言?」
「ああ、彼女が目を覚ます時に来るってな。ホントに知らねえのか?」


 本当に知らないのかキョトンとしているファラ。その時、ギィ……っと扉が開き、そこから一人の女性が姿を現した。


 ジュドムはサッと立ち上がって警戒するが、相手を見て虚を突かれる。


「言った通り来たわよ」


 その人物こそ、アヴォロスが刺客として放っていた亡者からジュドムたちを助けてくれた女性だった。唐伯虎

没有评论:

发表评论