「そうか、相手は飲んでくれたか…………良かった。一先ずは良かったと言えるな」
イヴェアムは獣人からの返事を聞いてホッとしていた。これで双方に必要以上の死が増えることはなくなった。無論勝負に負けてしまえば『魔族イビラ』たちがどうなるかは分からない。SEX DROPS
一応勝負には《契約の紙コントラクト・ロール》を使って約束事を決め、その中には敗者を無闇に殺すようなことはしないようにと契約させるつもりだが、それでも負けたら今までの生活が無くなる可能性は高い。
敗北した側は、勝者の懐に入る、すなわち配下同然のような形になるように提案するつもりではある。だがこの約束事も完璧ではない。命を捨てて裏切る可能性もあるのだ。
だがその不安をアクウィナスが除去する。
「彼らは一度決めたことを破りはしない。それが獣人の誇りだと思っているからな。だから今まで彼らが誰かを裏切った話など聞かないのだ。少なくとも、今の獣王が要求を飲めば、感情的にはどうであれそれに従うだろう。それにこちらが勝ったところで、陛下は彼らを抑えつけるつもりなど無いのだろう?」
「当然だ」
「なら不満もそう溜まるまい。後は時間をかけてこちらの真意を分かってくれるように接していけばいいだろう」
「そうか……ああ、そうだな」
「だがそのためにも、この勝負は必ず勝たなければならん」
「ああ、その通りだ。正々堂々、真正面から彼らを破って見せる!」
拳を強く握り締める彼女を見てアクウィナスはフッと頬を緩める。
「しかし、まさかこのような方法を選ぶとはな。マリオネなどは開いた口が塞がらないような表情をしていたぞ?」
「はは……実はな、この方法はその……ヒイロが……」
「ヒイロ?」
「あ、ああ」
彼女が今回獣人に対して要求した内容は、日色が考え出した案でもあった。彼女が日色と話していた時、ふと彼女がこの戦争でどうにか穏便に事を収めることができないかと漏らしたことがあった。
その時は鼻で笑われ馬鹿にされた。何を甘いことを言っているのだと一笑された。無論彼の言ったことが正しいと分かっているのだが、それでも納得ができずつい怒ってしまった。
しばらくむくれている彼女に対して、日色はこう言った。
『誰も傷つかない戦争なんてあるわけがない。傷ついてほしくないなら、戦争を起こさないようにするべきだ』
それは当然のことだ。彼女もそうさせないために努力したと言った。
『一度起きた戦争は確かに無傷じゃ止められないだろうな。だが相手次第では被害を限り無く少なくすることはできる。まあ、一種の夢物語というか、熱血漫画のような愚案だけどな……』
そう言って少し言い難そうに今回の方法を教えてくれた。
「ほう、こんな馬鹿げた提案はヒイロのものだったか」
得心がいったような表情を浮かべる。三体牛鞭
「だがよく決断したな」
「……仕方が無いだろう。このままでは本当にどちらかが滅びるまで戦い続けることになってしまう。それだけは絶対に駄目だ。ならば相手の土俵でその上を行けば、こちらの言葉を聞いてもらえると思ったのだ」
「……なるほど、相手が獣人ならではの方法ということか」
「ああ、この方法なら確かに無傷ではないが、最低限の被害で済むはずだ。それにこちらは相手と違って明らかに分の悪い提案をしているのだ。もしそれに敗れたとしたら、相手は何も言えまい」
「フッ、なかなかに強したたかだな。それもヒイロが?」
「う、うむ、まあな」
バツが悪そうにそっぽを向く。
「まあ確かに、これだけ有利というか、利点が多い状況を引き受けて負けたとなら、さすがの獣人も認めざるを得ないだろう。自らの敗北をな」
「ああ、ヒイロもそう言っていた!」
嬉しそうに笑みを浮かべるイヴェアムをジッと見つめるアクウィナス。その視線に気づいてハッとなり慌てて顔を背ける。頬は赤いままだが。
「……フッ」
何やら含みのある笑みを浮かべたアクウィナスを見て、
「な、何か言いたいことでもあるのか!」
「いや、お前はそうして、少しずつ自分を変えていけばいい」
その表情には、どことなく親が子を見守るような慈愛が含まれているように見えた。
「え……何を……」
するとアクウィナスは踵を返してどこかへ行こうとする。
「どこへ行くのだアクウィナス?」
「……少しな」
そう言ってその場を立ち去っていくアクウィナスの背中を見つめながら
「……何なのよ……?」
まだ熱を持った顔をコクンと傾けていた。
「ふにゃあ~、まだ体が痛いニャ……」
そう言いながら藁わらが敷き詰められた簡易ベッドの上をゴロゴロと寝返りをうつのは《三獣士》の一人であるクロウチだった。
日色との勝負に敗れ、今は捕虜として牢屋に放り込まれていた。男宝
「う~やっぱりまだ体も白いままニャ」
自分の手を見つめながら、黒かったはずの体毛が、今は雪のように真っ白になっていることに溜め息を吐く。
「あんな大物を一気に呼び出した《反動リバウンド》ニャねぇ……次の満月まではこのままかもニャ……」
しかもただ体毛が白くなっただけではなく、明らかに体長も変化していた。黒かった時は体つきも逞しく高身長な体つきだったが、今はまるで子供のような体躯に変化し、胸元も若干膨らんでいる。明らかに女の子だった。
「う~暇ニャ~」
ゴロゴロと体を動かしていたクロウチは急にピタッと動きを止める。そしてある人物のことを思い出す。
「……ヒイロ……かぁ」
自分と戦い、圧倒的な力を見せつけて敗北においやった本人を思い出す。
「赤ローブ……眼鏡……それにあのニオイ……」
戦っていた時、日色のニオイが鼻に入り、それがある違和感を感じさせていた。
「ニャんでタロウとおニャじニオイがするのニャ?」
それは同一人物だからなのだがとは誰も突っ込みは入れてくれない。前に日色と会った時は、彼は獣人の姿で本名を名乗らずタロウ・タナカと名乗っていた。だが赤ローブに眼鏡、態度、そしてニオイまでも酷似していたのだ。
だからこそ余計に混乱するのだ。日色が姿を変えることができると知っているのなら、すぐに答えに行きつくのだが、残念ながらクロウチは知らない。
「…………ああもう!」
またもゴロゴロと体を動かす。
「どうでもいいニャ! そんなことよりもう一度戦いたいニャ! ヒイロと会わせてほしいニャ~!」男根増長素
牢屋の中で甲高い声が響く。同じ牢屋に囚われている獣人たちは、「ああ、また癇癪かんしゃく起こしてるな」と呆れるような溜め息交じりの声が聞こえてくる。
牢屋番をしている者も、そんなことが何度もあったのか、軽く諦めている雰囲気で肩を竦めているだけだった。だが注意をしないわけにはいかない。
「こら、もう少し静かにしていろ」
少しだけ口調が優しいのは、クロウチの見た目が明らかに子供だからだろう。確かに敵だが、何もできない子供を一方的に憤怒の対象とするのは気が引けたようだ。
「う~ニャらヒイロ呼んできてニャ」
「それは無理だと前にも言ったろ? あの人はこの国の恩人にして、まさに英雄のような方だ。こんな場所にお連れするわけにはいかん」
「ニャ? ヒイロはそこまで人気なのかニャ?」
「まあな。あの戦いを直に見た奴らはみんなそう思ってるはずだ。それにあの人は一人で橋まで壊してくれたんだぞ? 俺たち『魔族イビラ』のためにそこまでしてくれた人を英雄と呼ばず何て呼ぶんだ?」
牢屋番の男は目を輝かせて、羨望の眼差しで遠くを見つめている。
「橋を!? 一人で!? す、すごいニャ……」
クロウチは橋にかなりの戦力が防衛に当たっていることを知っている。そんな中に一人で突っ込み、橋を壊した日色の強さにクロウチも目を光らせている。
男の言葉を全く疑わないクロウチもクロウチなのだが。彼の様子から本気で言っていると判断したのかもしれない。
「それに驚くことにあの人は『人間族ヒュマス』だったんだぞ?」
「……へ? 『人間族ヒュマス』ってどういうことニャ?」
「いやな、何でも変化の魔法が使えるらしくて、本来の姿は『人間族ヒュマス』らしいんだよ。いや~それにしても人間の中にもああいう人っているんだなぁ。【ヴィクトリアス】の人間とは大違いだ。あ、でもあの人も元は【ヴィクトリアス】出身……って言っていいのか?」
「……どういうことニャ?」
クロウチの顔が真剣な表情になり、探りを入れているということは、恍惚な表情に陥っている男は気づいていない。むしろ自分の言葉に酔っている感じだ。
「何でもよ、あの人は勇者と一緒に召喚された人らしいんだよ」
「…………」
「まあ、勇者じゃないみたいだけどな。本人はただ巻き込まれてこっちに来たって言ってたけどな……っておい聞いてるか?」男用99神油
クロウチが返事をしていないので気になって様子を確認したら、彼女は先程と違い静かに藁の上で横になっていた。そんな彼女を見てハッとなって冷静になる牢屋番。
「やっべえ。これって言って良かったことだっけ?」
つい熱くなってしまい敵に情報を流してしまったことに焦る。だが動かない彼女を見て、もしかしたら寝たのかもと思い、心の中でそのまま忘れてくれと願うように両手を合わし、そのまま仕事を継続した。
だが彼女が今の話を忘れるわけは無かった。何故なら今の話でヒイロとタロウが繋がったからだ。
(変化……そうニャ……やっぱり同一人物だったのニャ!)
心の中で湧き上がってくる衝動に胸が躍る。そして先程よりも会いたいという思いがさらに増していく。
それにもっと興味深い話も聞けた。
(それに異世界の住人……面白いニャ! ヒイロはホントに面白いニャ!)
頬を紅潮させて笑みを浮かべる。
「ニャハハ…………ニャハハ…………ニャハハ…………」
しばらく牢屋には彼女の笑い声だけが響いていたという。ちなみに牢屋番はその笑い声が何となく不気味で声を掛けなかったらしい。蔵秘回春丹
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