「姉……だと?」
ベガからの突然の告白に一同は息を呑む。討つべき敵の親玉である神王サタンゾア。その姉が今目前にいるということに皆の思考が止まりかけていた。
日色もまた、思わず口に出して呟くほど驚きを得るほどのものだ。そしてその視線はペビンへと向く。彼はさすがに知っていたようで平然としていたが。蒼蝿水
(あの野郎、最初から言っておけよな)
心の中でペビンについて愚痴を溢すが、当の本人は素知らぬ振りである。
「驚かれたと思いますが、サタンゾアは私の弟でございます。この星に辿り着き、支配者に君臨しようとする弟を私は止めることができませんでした。……いつか弟も目を覚ましてくれると信じ、結果、大切な友人たちを失うことになりました」
「……それがアダムスとイヴァライデアってわけか?」
「……はい」
自分と血が繋がった家族が、友達を傷つけ、あまつさえその友達の世界を牛耳ろうとしているのだから、彼女の心痛は酷いものだっただろう。
(もしかしたら、神王の力に抗えているのは、同じ血が流れてることも理由に入っているのかもしれないな)
そう考えれば、他の『神族ゴドス』たちが抵抗できない力に抵抗できている理由も説明がつく。
「結局、あの子は自らの欲望のままに突き進むことを決めました。姉として止めるべきでしたが、止めようと思った時はすでに遅く、私に残されていた力はほとんどありませんでした」
例の《腐蝕病》とやらが限界まで身体を蝕んでいたのだろう。
「あなたの中に、イヴァライデアの力があるのは一目見て気づきました」
チラリと日色を見てくるベガ。
「……今度こそ、力になりたいのです。何もせずに後悔することは、もう望みません」
強い意志。彼女の瞳には偽りの光は宿っていなかった。彼女は本気で日色の力になることを望んでいることが伝わってくる。
「弟に再現された今の私に残されている力も限られているでしょう。ですが最後まで、あなたたちを支えさせてくださいませ」
ミュアたちは彼女の想いに心を打たれたように日色に賛同の眼を向けてくる。
「…………分かった。なら全力で支援しろ。それが償いと思っているのならな」
日色の言葉にベガは嬉しそうに笑みを浮かべ「はい!」と答えた。
「目標はあのデカブツだ。必ず破壊して、ここから出る。そして、神王をぶっ潰すぞ」
皆が「はい!」と力強く返事をする。SEX DROPS
「防御面に関しては私に任せてください。ですが私の《静寂のクドラ》は、味方の戦闘意志までも消そうとしますので、攻撃する時は私の作るフィールドから出てくださいませ」
そう言うベガに対し、日色は頷きを見せると、レッカとミュアが一歩前に出る。
「父上、この場は自分たちにお任せください」
「そうです。リリィンさんが言った通り、ヒイロさんは力を温存してください」
「お前ら……」
リリィンはミュアたちに言った。日色を無傷で神王のもとへ辿り着かせろと。戦闘に参加させれば、日色の力を消耗させてしまう恐れがある以上、リリィンの考えは的を射ていると、ミュアたちは考えているのだろう。
「ベガさんもあまり無茶はしないでくださいね」
「……ありがとうございます。お優しいのですね、あなたは」
「いいえ。ただ……自分の無力に嘆いてしまう気持ちが分かるだけです」
ミュアは空に浮かぶ《エクヘトル》を睨む。
「レッカくん、準備はいい?」
「オス! 自分は万全です!」
「なら、行くよ!」
ミュアとレッカは二人して同時に、ベガが作り出した緑色のフィールドから出て、そのまま真っ直ぐ《エクヘトル》へと迫っていく。
《エクヘトル》からもターゲットを彼女たちに定めたようで、再び例のビームを連射して仕留めようとしてきた。
「《銀耳翼》っ!」
ミュアの獣耳が姿を変えて翼へと変化。大地を蹴り出し空へと舞い上がっていく。
レッカもまたその小さい身体で素早い動きを見せてビームを軽やかにかわし距離を詰める。
「《雷の牙》っ!」
ミュアが装備している二つのチャクラムである《紅円》を投げつける。ミュアの《化装術》によって雷を帯びた《紅円》が相手を斬り裂こうと向かって行くが、《エクヘトル》から出てきた複数の小さな水晶玉が重なり合って盾のようなものを作り出した。
その盾によって《紅円》は弾かれてしまう。
「やっぱりそう簡単には倒させてくれないよね!」三体牛鞭
弾かれた武器を空を移動しながら手にしたミュアは、飛んでくるビームを避け続けながら相手を観察する。それと同時に地上にいるレッカの様子も見た。
彼はビームを器用に回避しながらジャンプする。
「あっ、ダメだよレッカくんっ!」
何故なら空中では相手の攻撃をかわせない。ミュアのように自由に移動できる翼など彼は持っていないからだ。
彼にビームが迫る――――が瞬間、彼の足元に青白い魔力で形成された板のようなものが出現し、それを足場にしてさらにジャンプをするレッカ。
「レッカくん……!?」
日色ともミュアとも、そしてテンとも違う空の移動の仕方。魔力を実体化させてそれを空中に固定させることにより足場を作る。
「アイツ……あんなこともできたのか」
日色も驚きである。
(あれなら確かに空中を移動することはできるが、そうそう簡単にできることじゃないぞ)
魔力を実体化させるには、かなり密度の高い魔力を生み出すことが必要不可欠であり、なおかつそれを一か所に留める技術が要求される。
(魔力コントロールはオレより上かもしれんな。恐ろしい才能だ)
まだ八歳のはずなのに、あれだけの技術が備わっているとは末恐ろしいものを感じる。さすがは伝説の勇者である灰倉真紅と、その恋人―――『精霊の母』の転生体であるラミルの子供の生まれ変わりだ。男宝
(まさにサラブレッドってところか)
レッカは跳ぶ度に足場を作り階段を駆け上がるように相手に肉薄していく。そしてある程度近づいたところで、彼の右手から魔力が溢れ小さなナイフを形作っていく。そしてそのまま相手に投げつけた。
「―――《多重創造》!」
突如、投げたナイフが一瞬にして数え切れないほどの数に分裂した。
(あれがレッカのユニーク魔法――――――《創造魔法クリエイト・マジック》か)
彼の魔法は、自らの魔力を駆使し、思い描いたものを創り出すユニーク魔法である。以前、日色と戦った時にも、彼はこの魔法で自身の分身を創り出したこともあった。
しかしこの魔法にも幾つか制限やリスクは存在するという。簡単なものでいえば、極めて複雑な構造をしているものを創るにはそれ相応の時間と魔力を要する。
自分という存在であればそれほど無理なく創り出せるが、他の生命体は創り出せない。仮に創り出せても動くことのできない人形のような見かけだけのものだけ。
また相手の魔法などを創造することはできない。ただし、火や風などを魔力を使って出現させることは可能だ。
(つまりその気になれば、レッカは全属性の魔法を扱えるというわけだな)
今まで出会った人物の中でイヴェアムが最も多くの種類の属性魔法が使えたが、彼女は光魔法は使えない。しかしレッカは光を創造することができるので、全部の属性を扱うことができるのだ。
加えて日色にも勝るほどの魔力コントロール。さすがは勇者の子供の転生体である。その身に秘めている力は計り知れない。
レッカの攻撃を防ぐために、ミュアの時と同様に壁を作る《エクヘトル》。その壁にレッカのナイフ群も弾かれた。
「くっ! 堅いです!」
「レッカくん! 様子が変だよ、気をつけて!」
ミュアの言葉通り、氷のようにクリアな色をしていた《エクヘトル》が、次第に毒々しい紫色へと変化。男根増長素
日色はすぐさま『鑑定』の文字を使い、相手の情報を得る。
「――――っ!? お前らっ、そいつに絶対触れるな! 今のそいつは毒属性を持ってるっ!」
確認した結果、《エクヘトル》の全体が毒に覆われていることを知った日色は彼女たちに情報を伝える。だがベガが大きな声を張り上げて日色の言葉を打ち消す。
「いいえ! そのままで構いません!」
ベガは両手をサッと《エクヘトル》へと向けると、日色たちを覆っていた緑色のフィールドが《エクヘトル》へと放出される。そして相手に触れた静寂のフィールドが、一気に《エクヘトル》の全体を覆い、毒々しい紫色から、再びクリアな色へと戻っていく。
「どうぞ! 今の内に攻撃を!」
ベガの叫びに呼応して、ミュアとレッカが動く。
「《迅雷転化》っ!」
ミュアの全身から雷が迸り、雷化していく彼女の身体。
「《多重創造》っ!」
空中に立っているレッカの分身体が次々と生まれ、《エクヘトル》の周囲を覆い尽くしていく。
「いきますっ! 《千楽せんらくの銀雷ぎんらい》っ!」
ミュアの《銀耳翼》がはためき、銀の粒子が雷と混合して、銀色の雷を生む。相手の頭上へと投げつけた帯電状態の《紅円》。そこからまさに千の雷となって《エクヘトル》へと降り注ぐ。
「自分もいきますっ! 《吹雪の舞い》っ!」
魔力で形作った刃状のものを分身したレッカたちが槍投げのように放った。
ミュアたちの攻撃が届く瞬間に、ベガは相手を覆っている静寂のフィールドを消す。そうしなければ、ミュアたちの攻撃がフィールドに触れた瞬間に霧散してしまうからだ。
だがそれと同時にベガはまたも血を吐いて膝をつく。そしてミミルが彼女の傍につき介抱する。
ギリギリまで静寂に包まれていたせいで、防御できなかった《エクヘトル》は、ミュアたちの攻撃をまともに受けてしまった。
(あれだけの攻撃を受けたんだ。これで終わったはず―――)
と、日色が考えた瞬間、《エクヘトル》から四方八方に向けてウニのような鋭い針が伸び、周りにいるミュアたちに襲いかかった。男用99神油
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