2015年3月13日星期五

北の大陸へ行くらしい

 龍人族の国へ行くためのルートと言うものは、人族も獣人族も一応は持っていた。
 但しそのルートは非常に限られたものであり、入れるのも龍人族の住む大陸の本当に入り口付近のみ。西班牙蒼蝿水
 獣人族はその戦闘狂の頭の中身が。
 人族はその金銭に関する執着心が龍人族から嫌われているせいでそうなっているらしいのだが、どちらの種族も蓮弥がシオンやレパードから話を聞く限りは龍人族に較べると身体能力が格段に落ちるらしかった。
 それならば、適当に排除できたのではないかと蓮弥等は思うのだが、どうやら龍人族自体それほど数の多い種族ではなく、どうしても人族や獣人族を相手にすると数の暴力と言うものによって不利とまではいかないものの非常に厄介な思いをさせられることが繰り返された。
 結果として龍人族はその二つの種族との付き合いを非常に浅いものに限定することになったのだが、基本的に争いごとをあまり好まず、さらに金品に対してもそれほど執着心を抱かないエルフだけは例外とされ、龍人族とはそこそこ深い付き合いを続けていたのだ。

 「そんなわけですので、エルフの国の転送門は龍人族の国のあっちこっちに経路を持っているんです」

 クロワールがどこか誇らしげに言う言葉に蓮弥はなんとなくと言った感じで頷く。
 あまり話を深く聞いていないフリをしているのは、シオンを初めとした人族勢の女性陣と、カエデを初めとした獣人族の巫女達の視線が怖いからだ。
 これはクロワールが龍人族がいかに二つの種族を嫌っているのかと言うことを過去の実例つきで蓮弥にしっかりと説明したせいだ。
 蓮弥からしてみればあまり関係ないように思えたのだが、言葉の端々にクロワールが妙な毒を織り交ぜてエルフ族が他の二つの種族に較べて優雅で上品で平和的であるかと言うことを語るにつれてシオン達の視線の険しさが増していくのを蓮弥は他人事であればいいのになと思いつつ感じていた。
 この辺りがもしかするとエルフ族が高慢で鼻持ちなら無い種族だと評価される部分なんだろうかとも思っていたのだが、クロワールのエルフ族自慢は止めなければいつまでも続くような気がしたので、蓮弥は頃合を見計らってクロワールの話に割り込む。

 「大体理解した。その辺でいいぞ、クロワール」

 「そうですか? このお話について語るのであればそれこそ幾夜を経てもまだ足りないくらいお話があるんですが、また今度にしましょうか」

 全然語り足りませんと不満げなクロワールであったが、現状がそれほど話に時間を取っても良い状況でないことは理解しているようだ。
 彼らの周囲では、エルフの兵士や技術者達が忙しげに転送門の準備を行っている。
 結局、蓮弥が普段どおりの体調に戻るのにはエミルが蓮弥の部屋を訪れた時から数えて二日ほど必要であった。
 技能の恩恵のおかげで、蓮弥は人並みはずれた回復力を持っているはずであったのだが魔族から見ても膨大としか言い様のない蓮弥の魔力保有量がほぼ枯渇する寸前の状態から元の状態に戻るまでにそれだけの時間を消費したのである。
 ただこれに関しては、蓮弥からフラウへと供給している魔力の流れを遮断しない状態でのことであったので、完全に回復に専念していればもうちょっと早かったのかもしれない。

 「体の具合は大丈夫なのかねぇ、レンヤ?」

 疲弊しきっている蓮弥の姿を唯一目の当たりにしているエミルは、その時の蓮弥の姿があまりに印象的過ぎたのか事あるごとに蓮弥の体調を尋ねてくる。
 心配されているのは蓮弥も承知しているのだが、あまりに何度も聞いて来られるともしかしてこれはなんらかの調査の一環ではないのかと言う疑念も湧いてくるものであるが、エミルの表情は心配していますと全力で主張しているようなものであったので、あまり邪険にもできない。西班牙蒼蝿水口服液+遅延増大

 「問題ない。もう回復している」

 「なら良いんだけどねぇ。そう言えば、人の体と言うものは壊れたりすると前よりも丈夫になろうとする機能があるのだけれども、蓮弥の場合どうなのかねぇ?」

 「分からない、としか言えないな」

 魔力の保有量と言うものは使えば使うほど多くなっていく。
 さらに成長限界突破等と言う技能を持っている蓮弥なのであれば、普通の人族ならば頭打ちになる所がそこを突き抜けて青天井に成長する。
 エミルは蓮弥がそんなチートな技能を持っていることを知らないのだが、蓮弥の魔力保有量が初めて会った時から現在に至るまで成長し続けていることくらいは分かるので、上限がまだまだ上にあるのだろうとは思っている。
 それに答えた蓮弥の言葉も、蓮弥からしてみれば正直な話だ。

 「それはどうでもいいんだが、クロワール。龍人族の国への経路を開くのにあとどれくらいかかるんだ?」

 蓮弥の体調が戻り、遠出の支度にさらに一日を費やした蓮弥達一行はクリンゲをメイリアとフラウとキース達に任せてクリンゲの転送門からエルフの国に入っていた。
 フラウだけでもいいんじゃないのかと言う意見もちらほらとあったのだが、蓮弥はフラウ一人に全て任せるのは問題があるとして事務方としてメイリアにも残ってもらうこととしている。
 どうなっているか分からない龍人族の国に行くよりは、クリンゲで待っていた方が確実に安全だろうと言う蓮弥の意見には全員から賛成が得られた。
 後は任せておくの、と言う心強いフラウの言葉を聞きながら転送門を潜った蓮弥達であったのだが、その先にあったエルフの国の転送門でしばしの足止めを食らうこととなっている。
 これにはきちんとした理由があった。

 「なんとも言えないです。みんな頑張ってくれているんですけれども」

 転送門のある部屋に蓮弥達の為にとエルフ達が持ってきてくれた椅子に腰掛けた状態でクロワールが言う。

 「通常、常時接続になっている龍人族の国への経路はやっぱり切断されていました。おそらくは転送先の設備に問題が発生したせいだと思います。それで今回は竜の巣に近い場所にある転送門への経路を使用するのですが、こちらは常時接続ではなく本来はあちらから接続してもらって使用するものなんですよ」

 竜の巣に近い場所への経路は通常であれば、先に常時接続の経路を使って使用依頼を送り、それが受理されると龍人族の側からエルフの転送門へと経路が接続されて使用可能になるのだとクロワールは言う。
 ただ今回はその手順を踏むことができず、エルフ側から経路を開こうとしているのが時間が掛かっている理由であった。
 龍人族も、もしかすると連絡を取れない状態で転送門を使用しなくてはならない事態が発生することを予想しており、エルフ側からでも経路を開けるようにしてくれてはいたのだが、みだりに使用されても困るからと経路を使用可能にする為に幾つもの手順を踏まなくてはいけないような面倒な仕様になっており、目下エルフ達は技術者総出でその手順を踏んでいる真っ最中である。

 「ちなみに、通常時に手続き無しで龍人族の国への経路を使用すると、普通に領域侵犯で大問題になりますから覚えておいて下さいねレンヤ」

 「なんで俺だけ名指して注意する……」男根増長素

 憮然として尋ね返した蓮弥であるが、答えは無かったものの全員の思いは一致していた。
 やるとすればお前しかいない、と。

 「今回は一応、父様の許可を得ていますがあくまでもイレギュラーなお話なんです」

 「あぁ、いたな、皇帝陛下」

 蓮弥達が人族の領域からエルフの領域への転送門を潜った直後、転送門の前で待ち構えていたのが皇帝陛下だった。
 どうやら久方ぶりに娘との再会を、とでも思っていたようなのだが別れ際の印象が悪すぎたのか、それとも現在の状況が悪すぎたのか皇帝陛下はクロワールに全く構ってもらえず、そればかりか龍人族の領域への経路の使用許可をさっさと出してくださいと詰め寄られた挙句に、用が済んだら帰れと言われてすごすごと引き下がっている。
 扱いがあまりに酷すぎるので、少々口を挟もうとした蓮弥ではあったのだが、クロワールの視線に制された上でグリューンにまで引きとめられていた。

 「気にすることは、ない。あぁ言う扱いを受けるだろうことを理解した上で来ている」

 「父様ですからそうでしょうね。娘に邪険にされるのを喜ぶなんて、どこの変態ですか」

 自分なりにフォローを入れているつもりのグリューンであるが、クロワールへ新たな火種を提供するだけの結果に終わっている。

 「そうは言うが、たまには元気な顔くらい見せてやれよな?」

 食材素材の類はクロワールの身柄を世話している対価、と言えなくも無いのだが一応はある程度蓮弥も皇帝陛下の恩恵は受けているのでフォローに回る。

 「善処します……」

 しぶしぶといった感じのクロワールの肩を蓮弥はぽんぽんと叩く。
 クロワールがどこまで本気なのかは蓮弥にも判断の付かない部分ではあったが、やはり蓮弥からしてみれば皇帝陛下とクロワールは仲が悪いよりは仲が良い方が心情的にも好ましかった。
 気を使わずに済むと言う一点において、ではあるが。

 「それはそれとして、あとどのくらいかかりそうなんだ?」

 シオンに尋ねられたクロワールは近くにいた技術者の一人を捕まえて状況を聞きだす。
 捕まった技術者は、相手が皇帝の娘であるクロワールであることを見て取ると恭しく礼をした後で、小声で状況の説明を始めた。
 その声は非常に小さく、すぐ近くにいる蓮弥達にすら聞こえない程度の声であったのだが、耳の良いエルフには十分すぎる声であったようで、クロワールはしきりに頷いている。
 技術者はクロワールへの説明を一通り終えると、また礼をしてから自分の作業へと戻っていく。

 「作業は順調なようです。ただ、龍人族さんの方が徹底的に面倒な手順を用意されていたので」

 「非常時の経路なのであれば仕方ないのだろうけども、随分と用心深い種族なのだな、龍人族って」男宝

 「まぁなんといいますか、色々とある種族ですし」

 色々と言う所が非常に気になる蓮弥であったが、それについてクロワールに尋ねようとした時に別な技術者が声を上げた。

 「処理終了しました。経路開きます」

 普通ならば、単に門の間に真っ黒な空間が開くだけの転送門が通常と異なる作動をしているのか淡く青い光を放つ。
 その色もさることながら、低く唸るような作動音が部屋中に響き渡り、蓮弥達を不安にさせる。

 「通常処理ではありませんので、いつも使われている状態と違うとは思いますが……」

 エルフ族を除いた全員の表情に気がついたのか安心させるように技術者が言うが、いつもと異なる状態での転送と言う状況に安心できるわけもなく、自然と視線が蓮弥に集まる。

 「いや、俺を見られても困るんだが……」

 「大丈夫です。私は何度かこれを見ていますから。さ、レンヤ行きましょう」

 とにかく誰か潜ってくれないことには、後続も無いだろうとクロワールは判断したのか、蓮弥の背後に回ると両腕で蓮弥の背中を転送門の方向へと押し始める。
 力負けするような蓮弥ではなかったが、ここは押されるがままに行った方がいいだろうと抵抗もしないでいると、その左腕にシオンがしがみついた。
 蓮弥の腕をぎゅっと自分の胸元で抱きしめるようにするシオンの行動に、蓮弥はまぁ不安ならば致し方があるまいと考えてされるがままになり、蓮弥からは見えない背後でローナとクロワールがほぼ同時にしまった、と言うような顔でシオンを見ている。

 「なにが起こってんだこれ?」

 状況が分からないレパードに、カエデが答えた。

 「ここはシオンさんが1ポイント取った、と言うことでしょうか」

 「は?」

 「分からなければ分からないままで。それよりレパード、私も少し不安ですので、先導してください」

 「おう、わかった」

 頷いたレパードは、シオンをしがみつかせたままクロワールに押されて転送門の中へと消えていく蓮弥を追いかけた。
 その背後にはぴったりとカエデが寄り添い、それらを追いかけるようにして他のメンバーも転送門を潜ることになったのである。三体牛鞭

没有评论:

发表评论