「さて、さっさと行くぞ」
起きるなり日色はツカツカと歩いて行く。そんな彼を半目で睨むアノールド。
「……まあ、回復したならいいけどよ。つうかお前待ちだったんだぞ!」
「ふふふ、ほら行こ!」三便宝
ミュアに促されて二人は歩を進める。
しばらく歩いていると森の出口らしきものが見えてきた。
「お、やっとか!」
アノールドはつい早足になってしまっている。森を抜けるとそこは、一面のお花畑だった。
「うわ~」
ミュアは言葉を失ったかのように見惚れている。花びらが優しい風に乗って揺らいでいるのは美しい光景だった。
「これが【ドッガムガーデン】だ」
「ここの花畑は『熊人(ベアント)』が?」
「ああ、作った。キレイだろ? それに花の香りもたまんねえだろ?」
確かに鼻腔(びこう)をくすぐるほどの甘い香りが周囲に漂っている。きっとこの色とりどりの花からは、様々な美味しい蜜が取れるだろうことは想像できた。
「この先がいよいよ『熊人(ベアント)』たちの村、【ドッガム】だ!」
花畑を越えると、そこには小さな村が確かにあった。隠れ里のような、こじんまりとした村だった。
村の中に入ると、何やら開けた場所で『熊人(ベアント)』たちが集まっている。何をしているのかと思い日色たちも行ってみる。
「どうしたんだ?」
「え? お、おお! 久しぶりじゃないかアノールド!」
「よぉマックス! てめえも相変わらずデブってんなぁ!」
互いに肩を組みながら挨拶をしている。
「ん? アノールド……その耳」
「あ? はは、まあな」
バツが悪いような顔をする。だがすぐさま開き直ったように陽気に言葉を発する。
「紹介するぜ。コイツは『熊人(ベアント)』のマックスだ。まあ、昔この村に来た時に酒を飲み交わした仲だ!」
日色たちに向けて紹介する。マックスは笑顔を浮かべている。
「マックス、こっちも紹介するぜ」
今度はマックスの方を向いて日色たちの紹介を始める。
「この娘は、愛しのマイエンジェル、笑顔のキューティフラワー、ミュア・カストレイアだ!」
決まったぜみたいな顔しているが、ほとんどの者はキョトンだった。ミュアは恥ずかしそうに頬を染めている。
「よ、よろしくお願いします!」
慌てて頭を下げる彼女を見た他の者は微笑ましそうに微笑みを作る。
「ああ~そして、こっちはそのまあなんだ、ヒイロっていうガキだ」
明らかに態度が違うが、別に日色にとってはどうでもよかったので無視した。巨人倍増枸杞カプセル
「おう、二人ともよろしくな! 俺はマックスだ!」
外見は恰幅の良い、というより明らかにデブリ満開の体だった。
(熊というよりは豚熊だな)
とんでもなく失礼なことを思い浮かべている日色だったが、アノールドはここで集まっている理由を聞いた。
するとマックスは難しい顔をして言う。
「ああ、実はな森の中にユニーク魔物(モンスター)を見たって者がいてな。どうするか対処に悩んでんだ」
だがその言葉にアノールドは「え?」と口を開けたまま固まる。
「退治するにせよ、相手はランクSだろ? この村には残念ながら戦力がなぁ」
「ラ、ランクS? あ、あのよマックス……?」
「ん? 何だ?」
「そ、そのユニーク魔物(モンスター)ってもしかして……レッドボアか?」
「おお、よく知ってんな! その通りだ!」
いや、知ってるも何も、ガッツリ遭遇してグサッと隣のガキが殺しちゃいましたと心の中で言う。
「ん? そういやお前らどっから来たんだ? もしかして森ん中か? だとしたら運が良かったな。もし遭遇してたら死んでたぞ?」
「いやぁ、死んだのは死んだんだが……」
「ん? 何言ってんだお前?」
アノールドは溜め息交じりに真実を話す。
「ぬぁんだとぉぉぉぉ! ユニーク魔物(モンスター)を討伐したぁぁぁぁっ!?」
マックスだけでなく、近くに入り村人も驚愕の色に顔を染めている。
「あ、ああ。やったのはコイツで。その証拠にほれ」
そう言って討伐の証拠である部位を見せる。するとまた一段と皆の顔色が興奮状態に陥る。
「ど、どどどどどぉいうわけだアノールド! 何だそいつは! アレか? SSSランカーか?」
「い、いや……Dランカーの冒険者……かな」
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
マックスは口をあんぐり開けて日色を見つめる。
「コ、コ、コイツがホントにやったってのか? こんなちんちくりんの目つきが悪いガキがか!?」
日色を指差すマックス。だがそれが不快に感じた日色はその指を掴み
めきょ……
「痛てぇぇぇぇぇっ!」
「オレは指を差されるのが嫌いだ」
その場にいる者全員がポカンと時を止めた。アノールドも呆れたように溜め息を吐く。
「ホントだってみんな、詳しいことは言えねえが、ユニーク魔物(モンスター)はもういねえし、倒したのはコイツだし。村の災難が去ったんだから、もうこれ以上は聞かないでくれよ」中絶薬RU486
日色は「ほう」と感心した。もし勢いで、日色の魔法を細かく説明しようものなら吹き飛ばそうと考えていたが、どうやらプライバシーは重んじることができるアノールドのことを少しは見直した。
それから村人たちは三人を歓迎した。一応村人たちが確認のために森に様子を見に行ったら、確かにレッドボアの死体があったからだ。
これで村の危機は無くなった。魔物に襲われずに済んだのだ。日色は特に、そのレッドボアを倒したということで、注目を浴びていた。
かなり居心地が悪いと思いながらも、出された料理が思った以上に美味かったため仕方無くその場で料理を堪能していた。
「しかしよぉ、お前無事だったんだなアノールド」
マックスは酒を仰ぎながら言葉を発する。
「何のことだ?」
「風の噂で、お前に似た獣人が人間に奴隷化させられたって聞いた。アレはやっぱお前だったんだな……その耳、その時何かされたんだろ?」
「……まあな」
マックスは一目見て、以前はあったアノールドの耳が、今は無いことに気がついた。そしてそれが以前風の噂で流れてきた奴隷化の話で、アノールドのことだと直感的に分かった。
「大分、辛い目にあったようだな。ホントに『人間族(ヒュマス)』はとんでもねえことしやがる」
我を忘れたようにキレてはいないが、言葉に十分な怒気が込められているのを感じて、アノールドは自分のために怒ってくれていることに対し、何だか嬉しくもありこそばゆくもあった。
「確かにあの時にはもう戻りたくねえな。それに今、俺は幸せなんだぜマックス」
「アノールド……」
「好きなことができてる。なりたかった料理人にもなれたし。今は娘もいるしな」
「そういや、あの娘はいつ仕込んだんだよ?」
ニヤニヤしながら聞いてくるマックスに半目で睨む。
「勘違いすんじゃねえぞ。娘ったって血が繋がってるわけじゃねえ」
「そうなのか?」
「ああ、友人に託された娘だ」MaxMan
遠い目をしたアノールドの横顔を見てマックスは一度酒を口に運んでから息を吐く。
「ホントに、いろんなことがあったみてえだな」
「ああ……あったないろいろ」
二人の間にしばらく沈黙が流れる。
「そんじゃ、アイツは何者だ? 獣人のようだが、それもあの娘と同じ毛並だ」
ギクッと心臓が音を生む。そう言えば忘れていたが、日色は今『化』の効果で獣人化しているのだ。しかもその姿はミュアと同じ白銀の髪を有している。
「え……っと、あ、あれだ! ミュアの兄なんだよアイツ!」
「そうだったのかよ! 道理で似てるはずだ!」
(あ、あとでヒイロに殴られっかな俺……)
勝手に事実を捏造(ねつぞう)してしまい、日色のお咎(とが)めを受けるかもと思って空寒く感じた。
「にしても、アイツ強えんだな。一人でレッドボアやるなんて聞いたこともねえぞ?」
「あ、ああ、アイツはまあ、いろいろ規格外なんだわ」
本当にいろいろとなと心の中で呟く。
「ま、詮索はしねえよ。お前らは村の恩人だ。ゆっくりしてけ」
「ああ、ありがとなマックス」
「おいチビ、好き嫌いはよせ」
日色は隣でグリンピースのような食べ物を避けているミュアに物申した。
「え……でも……」
「それ単体で嫌なら、こうやって」
近くにある肉にソレを挟み、さらに野菜で包む。
「ほら、食え」
「え……うん」
手渡されたが、やはり抵抗感があるのか、上目使いで「ほんとに食べるの?」と聞く。すると目で「食わなければ押し込むぞ」と言っているように聞こえ、慌ててガブリと口に運んだ。
目を強く閉じ半ば自棄になって口を動かす。しばらく動かしていると、あれ? と思う。
(あの嫌な歯ごたえが無い?)
ミュアの考えていることが分かったのか、日色が口を開く。
「どうせ嫌いな理由は、触感やらニオイやらが苦手と相場は決まってる。ならそれを取り除ける工夫をしてやればいい。この肉はなかなかに匂いが強い、それにこの野菜は歯応えがしっかりしていて肉にも、そのお前が苦手な豆にもよく合う」
「す、すごいね。まるでおじさんみたい」
するとコツンと軽くミュアの頭を小突(こづ)く。威哥王
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