カミュは終わったと思っていたが、どうやら自分の攻撃が浅かったようだと理解した。ならまた同じ一撃を、今度はまともに与えるまでだと思って日色を見つめる。花痴
だが日色の目を見て考えを改めさせられる。殺気もそうだが、二度同じ手は食わないと言わんばかりの視線をぶつけてくる。そして今度近づいたら痛い目を見せ
てやると言っているようにも感じた。確かにまだ日色の魔法の正体を掴めていない以上、あまり接近戦重視で戦うのも危険かもしれない。
「近づくの……危険? ならこのまま砂で……トドメ刺す!」
右手を覆っている砂がサラサラと地面に落ちていく。その様子を見て、どうやら近づいてこないようで、日色は微かに笑みを浮かべる。
(効いたぁ……だが、こっちも準備ができた。今度はオレの真骨頂を味合わせてやる)
『速』の文字を二連続書いて相乗効果を生む。
日色は真っ直ぐにカミュに向かって行く。しかしカミュは手を地面にかざして
「大技(おおわざ)……行くよ」
だが魔力を放出させて、いつものように魔法を使おうとするのだが、自分が思っている状況にならない。
「……え?」
シーン…………
砂が言うことを聞かない。ウンともスンとも言わない。すると足から感じる砂の感覚に違和感を感じるのに気付く。
(砂……固い?)
つま先をグッグッと動かしながら確認するが、やはり砂とは思えないほどの固さを感じる。まるで普通の地盤のようだ。突如変化した砂に戸惑っていると、日色が目前へと迫って来た。
ドスッ!
「かはっ!?」
日色は素早い突進力を利用してカミュの腹に拳を打ち抜く。かなりの衝撃でカミュは大きく息を吐かされる。
「足元はしっかり確認しろよ二刀流?」
「ぐ……?」
腹を押さえながら、とりあえずその場から離れようとするが、日色が追い打ちをかけようとしてくる。
(くっ……さっきより……速い!?)
日色の動きが異常なまでに速くなっていること、それに何よりも砂が使えないことに頭の中は完全にパニック状態だ。福源春
バキッ!
今度は日色に顔を殴られて吹き飛ぶが、クルッと体を回転させて着地しようとする。しかし着地した瞬間には、もう目の前に日色の拳があった。
ドゴッ!
またも腹に一撃入れられて息が一気に放出される。
(なん……で……こんなに速い……!?)
突然の日色の変わりように、今まで手加減していたのかと思い歯噛みしながらも、このままではやりたい放題に殴られると思って、とりあえずその場から大きく距離を取ることにした。
逃げた先で、腹の痛みに顔を歪めながらも双刀を抜く。しかし次の瞬間、その刀が何かに引っ張られる。
「っ!?」
引っ張られる方向は地面からだ。だが地面は砂だけで何も無い。刀を強く握っていなかったため、刀は地面に吸い込まれるように落ちた。慌てて拾い上げようとするが、まるで重さが遥かに増したように重い。
「よそ見してていいのか?」
そうこうしている内にハッとなって前を向くと日色の蹴りが目前にあり、そのまま
ドガッ!
「がはっ!?」
顔面を蹴られそのまま吹き飛んでいく。ゴロゴロと先程の日色のように砂に転がる。口から血を流し、フラフラになりながら立ち上がるが、日色は薄く笑みを浮かべて言ってくる。
「だから言ったろ? 足元を見ろってな」
「……え?」
次の瞬間、
ブシュブシュブシュッ!
「そ、そんな……これって……俺の……?」
カミュの足元から針状になった砂が複数現れる。カミュは先程自分が使った魔法であるサンドニードルと同じなので、日色が何故自分と同じ魔法が使えるのか分からず戸惑いながら体に傷を負っていく。勃動力三体牛鞭
そして一本の砂針が、カミュの首元に突きつけられる。ピタッと、寸前で止まったのではなく、止められたのだと理解させられた。もしこのまま貫かれていたら、間違いなく死んでいた。
もう何が何だかサッパリ分からないといった感じで呆然と立ち尽くすカミュ。体には無数の傷が生まれ、刀も手元には無い。何より先程の攻撃で体力がもうほとんど無い。
「俺の……負け……」
カミュだけではなく、その戦いを見ていた者たちのほとんどは、開いた口が塞がらない思いだった。時を止めたように固まっている皆の中で、日色は静かにこう言う。
「オレの……勝ちだ」
勝負が決した瞬間だった。
(ふぅ、何とか上手くいったな)
今回、日色が戦う上で決めていた段取りはこうである。
まずはカミュが実際に砂の上でどんな動きをするか確認すること。そうして彼の動きを事細かに分析することが第一の目的だった。だから刀で相対して、彼の考え、行動を把握しようと努めた。
そして彼の魔法を受けるわけにはいかないので、『防』の文字を使って魔法の隙と特性を掴む時間を得ることにした。しかし、思った以上に足場が悪かったせいで、『防』の文字を使うタイミングが速まったのは予想外だったが。
何とか彼の警戒心を煽(あお)ることに成功して魔法を使わせることができ、それを『防』の効果で防ぎ、彼の魔法の穴を見つけて油断を突くこともできた。それが津波のような土の魔法の時である。蒼蝿水
あの時、日色は文字を書いて、足元に放っておいた。これは設置文字であり、文字は地面に吸収されたように消える。そして津波を突っ切ってカミュの元へと向かった。しかしそこでカミュに攻撃を避けられる。この動きには正直に驚いた。
そこから虚を突かれて攻撃をされたが、何とか避けて、また文字を書いて足元に放つ。これで二つ目の設置文字。
そこから今度は文字を書いてカミュの真上に跳び上がり、彼に向けて文字を放つ。しかし避けられてしまい、文字はまたも地面に吸収される。これで三つ目の設
置文字の完成。実はこの時、舌打ちをしたのは、彼に自分が何をしているのか少しでも悟らせないようにするためだ。外れたと悔しそうにしていれば、放った文
字に対して注意が向けられないと判断したからだ。
これで準備が全て整ったと思った時、カミュが予想外の反撃をしてきたのには参った。サンドアーマーを使って受けた攻撃が、本当に意識が飛びそうなくらい効いた。必ず倍返ししてやろうと決意した。
後はタイミング次第なのだが、運が良かったことに、彼は自分の目を見て、遠距離から攻撃することにしたようだった。どうやら近づいてくるなよという気持ち
を込めた視線が効いたようだ。しかも彼が立っている場所を見て思わず笑みを浮かべる。そこは自分が罠を仕掛けた場所だったからだ。
即座に設置文字の一つを発動させる。文字は『固』。これで砂がカチカチに固まる。カミュは大技を使おうとしたらしいが、案の定砂は言うことを聞かないらしい。
何故なら彼の周囲の砂は、もう彼が知っている砂ではなくなっているからだ。魔法はイメージが大切だ。サラサラの砂をイメージし、それを自由に形を変えて攻
撃することを得意としているカミュの魔法は、コンクリートのように固まっている砂を動かすイメージができずに魔法が不発になったのだ。
魔法は物事を理解して操作するものでもある。しかしその時の砂の状態を理解できなかったカミュは、魔法として砂を動かすことができなかったのだ。無論砂は砂なので、落ち着いて今の砂の状況を把握すれば、操作することも可能だった。
しかしまだMPに余裕のある彼は、自身の魔法の不発に戸惑ってしまい、落ち着いて状況を把握することができなかったため、砂を操作することが叶わなかった。
その隙を突いて、先程受けた攻撃のお返しをするつもりだった。『速』の二度書きの相乗効果を利用して突進力を上げてカミュの腹に一撃を返す。
もちろん彼は堪らずその場から脱出するはずだ。だがその逃げ道も、ある場所へと誘導しながら彼を追い詰めるように攻撃していった。逃げた先でカミュは、自分の持つ刀に不自然さを感じたはずだ。そしてその不自然さに負け、刀を地面に落としてしまう。
それもそのはずだ。書いた文字は『磁』。鉄である刀は地面に吸い取られるように感じたはずだ。普段の状態の彼ならきっと刀は落としはしないだろう。しかし
ダメージを受け、握力もそれほど込めていない状態では、思わず磁力の引きに負けてしまうのも仕方が無かった。予想通り刀を奪うことに成功した。
そして日色は彼に追い打ちをかけるように、攻撃を繰り返した。またも飛ばした先は、日色の狙いのある場所である。
今度は『針』。コレを使った理由は、カミュが同じような魔法を使っていたから、同じ魔法を使えば必ず戸惑うと思っての嫌がらせである。また上手くいけば彼の戦意を削ぐこともできると判断し書いた。結果は何とか上手くいき、日色の作戦通りに勝利を獲得できた。SEX DROPS
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