2013年10月15日星期二

ウェルの決意

先程から何回目の溜め息だろうか。そんな数えたらキリがないほどの溜め息を吐いているのは、ウェル・キンブルである。彼は練兵場という兵たちが日々訓練をしている場所の休憩室の椅子に腰かけて項垂うなだれていた。簡約痩身

 「なあおい、ウェルどうしたんだと思う?」

  そんな彼の様子が気になり、青山大志は仲間である鈴宮千佳、皆本朱里、赤森しのぶに問いかける。しかし三人も首を傾けるだけだ。

 「何だかここ最近元気が無いよなぁ」
 「いつからだっけ?」

  千佳が尋ねる。それに答えたのはしのぶだ。

 「ウェルっちがギルドに行ってくるって言って出かけよった時やな」
 「確か頼りになる人物がおられて、是非その方の助力を仰ぎたいと仰ったのでしたね」

  朱里が追加する。

 「そんで、帰って来たらアレ……だもんなぁ」
 「どうしたんだろうね?」

  千佳も額の汗を拭きながら疑問を浮かべる。彼らは今まで兵たちを一緒に訓練をしていたのだ。特に千佳は百人抜きとか言いながらハッスルしていたので、かいている汗は相当なものだ。

 「どうする? 声かける?」
 「う~ん、でもかけにくいんだよなぁ」

  どんよりと空気が淀んでいるかのような雰囲気がとても話しかけにくいのだ。

  そんなふうに見守っていると、そこに桃色のドレス姿をした少女が姿を現した。その少女は【王都・ヴィクトリアス】の国王の長女であり名をリリス・ヴァン・ストラウス・アルクレイアムという。

  彼女は四人に笑顔で近づいてくる。

 「お疲れ様です勇者様がた!」
 「リリス様も公務の手伝い大変そうじゃないですか」

  大志のその言葉に少しムッとするリリス。

 「え、あの、どうされたんですか?」
 「どうしてそんな畏まったお話し方なんですか大志様!」
 「そ、それはだって……」

  周囲をキョロキョロ見回しながら焦っている。

 「この前約束したではないですか! 私のことはリリスとお呼びになって下さいと。それにそのお話し方も止めて下さいと。大志様も分かったと仰いました!」V26Ⅳ美白美肌速効

  頬を膨らませて詰め寄ってくる。

 「わ、分かった! 分かったから近いってリリス!」
 「あ、す、すみません!」

  リリスは思った以上に取り乱していた様子で、つい大志との距離感を把握できていず、近過ぎていたことに顔を赤く染めてすぐに距離を取る。

 「い、いや、別にいいんだけどさ。はは」

  大志も照れたように頭を掻いていると

「痛ぇっ!」

  急に足を物凄く重い衝撃が襲った。

 「おい千佳何するんだよ!」

  そう、千佳が足を踏んづけていたのだ。

 「べっつにぃ、ただオモテになるなぁって思ってね、ふん!」
 「だから痛いって!」

  またも踏まれる。トホホと大志は涙を流し、それを介抱するリリスと朱里。しのぶはその光景を見て楽しそうに笑っている。

 「アハハ! やっぱ大志っちと千佳っちの絡みはオモロイなぁ~」
 「何がよまったく! 大志のバカ、デレデレしてみっともない!」
 「おんやぁ、それはヤキモチちゃうのん?」
 「ばっ! ち、違うわよバカ!」

  千佳の反応だけで見る者全てが理解できると思うが、大志だけは分かっていない。

 「うふふのふ~、鈍感男に惚れたら辛いわなぁ~」

  ニヤニヤしながらしのぶは千佳をからかう。

 「も、もう知らないわよ! アタシ向こうで訓練してくるから!」

  そう言ってその場から離れて行った。しのぶはそんな彼女の後姿を見てまたも笑う。

 「ホンマかわええな千佳っちは。スレンダーやし、人当たりもええし、幸せもんやなぁ~大志っちは」
 「な、何がだよ? 今俺物凄く痛くて幸せ感じてないんだけど?」

  Mじゃないしと言うと、しのぶは大きく溜め息を吐く。

 「あ~あ、そんなんやったら姫様も千佳っちも大変やなぁ~」

  同情するわと笑う。

 「ところで皆さま、集まって何をお話しされていたのですか?」

  リリスが聞いてきたので、先程話していた内容を聞かせる。

 「まあ、何かあったのでしょうか?」
 「それが分からないんだよなぁ。聞こうにも話しかけ辛いし……」
 「しゃ~ないな、ほならウチが聞いてきてあげよか」男根増長素
 「しのぶが?」
 「うん、こん中やったら、ウチが適任やろ?」
 「ん~どういう基準か分からないけど、本当に大丈夫か?」
 「まかせや~」

  そう言うと、休憩室へと向かって行った。



  ウェルはこの前、ギルドへ赴き、そのギルドマスターであるジュドム・ランカースに言われたことを考えていた。

 (『魔族イビラ』の王が代わり、その王が何度も和睦の交渉をしているのにも関わらず国王は無視している……か)

  それにこうも言われた。娘を犠牲にする前に、勇者という他人を呼ぶ前に、するべきことがあっただろうと。

  そして自分はまだまだ未熟であると、そうも言われた。

 (何故国王は和睦を……いや、その理由は分かっている。また以前みたいに裏切りの可能性が高かったからだ)

  実際に以前和睦の親書が送られ、それに応じて会談に赴いた際に、『魔族イビラ』の裏切りで、多くの『人間族ヒュマス』が犠牲になった。だからこそ同じ手に何度もかかるものかと国王は突っぱねているのだろうと思った。

 (しかし……)

  それでも対話をするべきだ。そうジュドムは言った。

 (それに勇者様がたは、本当に信頼に足る人物なのか……)

  ジュドムは異世界からの住人など、自分たちの切なる思いを受け止められるわけがないと思っている。今はまだいい。持ち前の身体能力や魔法で、障害も難なく乗り越えられる。

  だがいつか、確実に本当の意味で選択を迫られる場面がやってくる。それは命の危険があった場合や、自分の力ではどうしようもないと思われるほどの絶望を感じた時、それでも勇者は、勇者でいてくれるのか。

  命を投げ打ってまで、他の世界のために戦ってくれるのか。そんな高尚な人物が本当にいるのか。ジュドムに言われて頭が真っ白になった。

  何故真っ白になったか、それは正論だからだ。一理あるどころの話ではない。彼らは口々にゲームみたい、ゲームなら、ゲームではなど、その言葉を話す時、何故か覚悟の重みが軽く感じるのだ。男宝

 (それは彼らがまだ若く、戦いに慣れていないからと思っていた……しかし)

  もしそれが勘違いなら? 彼らの言うゲームとやらが、その勘違いを助長させているとしたら? ゲームとやらが、覚悟を薄めているとしたら?
  これほど危険なことは無い。そう感じてしまったのだ。

 (本当の危険が迫ってきた時、彼らは戦ってくれるのだろうか……)

  ハッキリ言って、まだ個人では自分の方が強い。しかし、四人で向かってこられたら、自分など瞬殺されるほどの実力はついてきている。大いなる戦力だ。だがしかし、上には上がいる。

  『魔族イビラ』には、そんなことをいとも容易くやってのける者が大勢いる。

 (もし……もしだ、彼らのうちの誰かが殺されたとしたら……彼らは……)

  それでも戦えるのだろうかと答えの出ない疑問が次々と溢れてくる。ジュドムは言った。勇者に対してやるべきことは、無傷で元の世界へと送り返すことだと。

 (私はどうしたら……)

  目を強く閉じ自問していた時、誰かが傍にやって来る気配を感じた。

 「どしたんやウェルっち?」 
 「……シノブ様?」

  そこには赤森しのぶがいた。

 「最近元気あらへんけど、どないしたん? みんな心配してんで?」
 「……すみません」
 「え? あ、いやいや別に謝ってもろたかてしょうがないんやけどな」

  しのぶは隣に腰かけ、再度聞く。

 「んで? どないしたん?」
 「はぁ、それは……」

  言えるわけが無い。あなた方を疑ってますなど。だが聞きたい。命を懸けられますかと。

 (だがもし、その事実を彼らに与えて、死を強く認識させたとして、彼らが国から去ったらどうする……? せっかくここまでの成長を見守ってきたのに……)

  どうしてもマイナスな事ばかり思いつき聞くことができない。

 「もしかしてさ、ウェルっちが悩んでんのは、ウチらに関することちゃう?」

  その言葉にピクリと肩を動かし反応する。しのぶはその反応を鋭く感知していた。

 「あ~やっぱか~。何なんそれ? ウチら何かしてしもうたん?」

  別にしのぶが特別鋭いわけではない。ただウェルを見ていると、何となく四人を避けている感じがしていただけだ。こちらを見る目にも、どことなく申し訳なさが宿っていた。

 「……言えません」
 「…………そっかぁ。ほなら別にええんとちゃう?」
 「……はい?」

  しのぶの言葉に眉を寄せる。

 「別に今すぐ答え出す問題なんか分からへんけど、時間はまだあるんやろ?」
 「そ、それは……」
 「それとも今すぐやなければ、世界が滅びるとかそんなんなん?」

  しのぶはほんの少しだけ表情を強張こわばらせる。三体牛鞭

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