2013年11月5日星期二

決勝当日

サトゥーです。シェイクスピアの有名作品のセリフに「to be or not to be」というのがありますが、高校に入るまでずっと格闘マンガのキャラのセリフが原典だと思っていた黒歴史があります。勘違いって、誰にでもありますよね。韓国痩身1号

 今日は朝からタマの様子がおかしい。
  やたらと部屋を行ったり来たりしてると思ったら、ポチやアリサに絡むというか、くっついて床をゴロゴロとジャレあっている。
 「どうかしたのか? タマ」
 「ん~? 何かムズムズする~」
 「プンプンなのです! 今日のタマはおかしいのです」
  おや? ポチも珍しく怒りっぽいな。
  タマが、オレの膝の上に座っていたミーアを押しのけるように割り込んできて、膝の上で丸くなる。どうしたんだろう? 強引に割り込んで来るなんて珍しい。
 「士爵さま、本日の決勝戦は観戦に行かれないのですか?」
 「ええ、決勝戦後の祝賀会で料理を振舞って欲しいと依頼されているので、もう少ししたら登城する予定です」
  なんでも、複数の貴族達から、公爵の家令に問い合わせがあったそうだ。ここ数日の間にあった陛下が臨席する舞踏会や晩餐会は高位貴族しか参列できなかったので、オレは参加していない。さすがに参加しない晩餐会や舞踏会の料理を作れとは言えなかったのだろう。
  その点、今日の祝賀会は優勝者や貴族だけでなく、本戦出場できた武芸者と公都の有力者も招かれるそうなので、前の舞踏会の時の様に数品の料理を出して欲しいと依頼があったのだ。
  今日の決勝には陛下も臨席されるので、カリナ嬢も弟氏と一緒に列席している。
  タマは、背中を撫でられているうちに落ち着いたのか、難しい顔のまま眠ってしまった。
  公都が震撼したのは、そんな時だ。

 地震があったわけではない。
  例えるなら潜水艦のアクティブソナーのような、探査魔法の信号が1度だけ通り過ぎただけだ。
  ただ、その威力が尋常ではないらしい。
 「何? 今の」
 「信号?」
 「何かゴーンってきたのです!」
 「マスター、戦闘準備を」
  オレだけでなく、半分くらいのメンバーが、さっきの信号を認識したようだ。
  恐らく、タマが情緒不安定だったのは、この前触れを感じていたのだろう。
  リザがこの間渡した新装備を装着し始めている。少し遅れてポチとナナも着替え始めた。目が幸せだが、そのまま眺めているわけにもいかないので、ルルに頼んで、ナナの前に衝立を置いて貰う。
 「タマも着替えなさい」
 「あい~」
  マップには魔族が出現している。闘技場の上空だ。
  闘技場にはリーングランデ嬢や王子と聖騎士達に加え、レベル40越えの者達が20人近くいる。間の悪い魔族だ。オレが介入するまでも無く抹殺決定だろう。
 「何が起こったの?」
 「また、魔族だ」
 「え~、また~」
  本当に、そろそろ自粛して欲しいものだ。
  アリサ達も、この間作った新装備に着替えておいて貰う。リザ達より薄手だが、お揃いの白い革鎧だ。リザ以外の者達は、鋳造魔剣に替えてある。この間、オークションで売ったのとは見た目がかなり違うし、銘がサトゥー・ペンドラゴンになっている。
  魔族は「召喚魔法」「精神魔法」「火炎魔法」が使えるみたいだ。時間をかけると色々召喚しそうなので、早めに処分しよう。
  皆が着替えを始めてしばらくして、警報の鐘の音が公都に響き渡った。韓国痩身一号

 公都の貴族の館には、魔族の襲撃に備えて地下シェルターが存在する。このシェルターは貴族達が自身の安全の為に設置したものだけあって、異常に頑強だ。上級貴族の家にあるものは、なんと外壁なみの強度がある。
  警報の鐘の音に少し遅れて、館付きのメイドさんが、避難誘導に来た。
 「アリサ」
 「ほい、ほ~い」
 「皆で、地下シェルターに避難していてくれ。本気でヤバそうなら例の信号を送るから、後先考えずに地下迷宮に緊急転移して欲しい」
 「あいあい」
  対魔族対策はコレでいいか。
  リザ達に、もう一つのやっかい事の対処を依頼しておく。
 「リザ」
 「はいっ!」
 「セーラ嬢の馬車が、悪漢に追われている。ミーアやナナと一緒に馬で保護に向かってくれ」
 「了解しました」
 「了解です、マスター」
 「ん」
  自由の翼の面々が、セーラ嬢を誘拐しようとしているみたいだ。
  オレが直接助けに行ってもいいのだが、変にフラグが立っても困るからリザ達に任せた。リザ達の実力なら余裕だろう。セーラ嬢は、この屋敷に向かって逃げているようなので、リザに大体の道順を教えておいた。

 オレは公爵城に行くからと地下シェルターへの避難を断って出かける。
  適当な路地裏で、ナナシ銀仮面の勇者バージョンに変身して、闘技場に向かう。
  とりあえず、状況把握の為に新魔法の「遠耳クレアヒアリス」と「囁きの風ウィスパー・ウィンド」を発動する。焦点は、これから向かう闘技場だ。
 『魔族よ、いや魔王よ、貴様の命運もこれまでだ』
  この声は王子だな。レベル71の上級魔族だが、魔王じゃないぞ?
  状況は混沌としているようだが、闘技大会の決勝だけあって、国内有数の強力な者が沢山いるので蹂躙されているわけではないようだ。
 『勇気ある戦士達よ、協力しあって魔物達を討伐するのだ。魔法使い達よ、攻撃魔法より、戦士達への強化魔法を優先しろ』
  今度はリーングランデ嬢だな。
  魔族は、兵隊用の魔物を召喚したのか、王子以外の人々は魔物の排除に追われている。レベル40台の魔物が、10体以上も召喚されている。高レベルの探索者や騎士、武芸者なんかが徒党を組んで戦っているみたいだ。聞こえてくる喧騒が、すごく生き生きとしている。よっぽど戦うのが好きなんだろうな。
 『結界だ、防御結界を張れ』
 『だめだ通路が崩落している、脱出路を確保しろ』
  どうして陛下の影武者を初めとした貴族達は逃げていないのか不思議だったが、そういう事らしい。遠耳と囁きの風って便利だ。
  一般客は通路が無事だったのか、外に向かって殺到している。踏み潰されて死んだ人間はいないみたいだ。血の気の多い人間ばかりだったようなので、心配無用のようだ。
  オレは、天駆と縮地で、闘技場の近くにある尖塔の一つの天辺に降り立つ。
  魔族は、頭部が2つあり、黄色い肌で、肩から水牛のような2本の角が生えている。頭が2つという事は、黄金の猪王みたいに同時に魔法を使って来るんじゃないだろうか。
  リーングランデ嬢や手柄を立てたい人間には「空気読め」と言われそうだが、闘技場には知り合いもいそうなので、さっさと始末しよう。
  まずは、大物の上級魔族を光魔法の「光線レーザー」で倒すか。
  そう決断するのを待っていたかのように、空間を割ってそれは現れた。
  水面から浮かび上がるように光の波紋を生みながら、流線型をした銀色の宇宙船のようなモノが現れた。
  船首には、青い鎧の男――勇者ハヤト・マサキが立っている。アリサに会ったときはレベル61と言っていたが、今はレベル69まで上がっている。
 『俺様、見参!』
  その言葉に挑発のスキルが篭められていたのか、飛行型の魔物が勇者に向かっていく。
 『ほう勇者ハヤト、ワラワの前に現れるとは、死ぬ覚悟ができたのデスか?』
 『いつまでも、昔の俺様だと思うなよ! 今日こそ雪辱を果たさせてもらうぜ!』
  今なら「光線レーザー」で一瞬なんだけど。撃ちにくいな。
 『ひかえろサガ帝国の狗め! 勇者がサガ帝国の専売ではない事を証明してくれる』
  王子だな。任せておけばいいのに。御秀堂養顔痩身カプセル第2代
 『≪踊れ≫、クラウソラス!』
  さっきの≪踊れ≫は、何かの合言葉だったみたいだ。王子の手から離れた聖剣クラウソラスが青い光を放ちながら、黄色魔族を襲う。おお~ 前に博物館で見た絵は、誇張はあるものの嘘じゃなかったんだな。
  あ、弾かれた。
  弱いなクラウソラス。
 『聖剣が泣いてるぜ、王子様。そいつは古の大魔王――黄金の猪王の筆頭幹部だ。数百年生き延びた最上級魔族なんだよ。死にたくなければ、下がっていな。≪歌え≫アロンダイト』
  勇者の持つアロンダイトが、勇者の合言葉を受けて激しい聖光を放つ。
  オレの聖剣にも、ああいう合言葉はあるんだろうか? 魔法道具の説明書のお陰で読めるようになったのが、近代に作られた魔法道具だけだったので、聖剣とかはまだ読みきれていない。合言葉くらいなら読み解けそうだから、ヒマを見つけて調べよう。
  船から現れた勇者の仲間達が、勇者に強化魔法をかけて行く。興味本位で「遠見クレアボヤンス」の魔法を使ったのだが、止めておけば良かった。
  僧侶らしき、ゆるふわタイプの巨乳美女が強化魔法を使う。目の下のほくろがいいね。
  弓兵らしき長耳族の女性が、勇者に接近する魔物を迎撃する。1射した矢が途中で10本ちかくに分裂して魔物に襲い掛かっている。赤い光が漏れているのを見る限り魔法の矢なのだろう。
  弓矢を逃れた魔物達が銀の船の上に着地したが、身軽な軽戦士と双剣の戦士の2人が瞬く間に排除している。彼女達も耳族だ。虎耳族と狼耳族の二人だ。虎耳がポニテ、狼耳がショートヘアの色っぽい美乳美女だ。
  最後に出てきたのが、長杖を持った豪奢な金髪の爆乳美女だ。カリナ嬢に匹敵しそうだ。何か長々とした呪文の詠唱を始めている。
  要は従者全員がグラマラスな美女軍団なわけだ。
  リア充爆発しろ。
  どうしよう。
  トルマ並みに空気を読まずに片付けるべきなんだろうか。
  撃つべきか撃たざるべきか、それが問題だ。
まったく、茶番だわ。
  陛下が臨席するからと言って、どうして私と殿下が模擬戦をしなくてはならないの?
  しかも、殿下の持つのは聖剣クラウソラス。シガ王国を体現するとも言われている「不敗」の剣だもの。
  絶対・・に勝つわけにはいかないのよ。
  正しくは聖剣クラウソラスを持つ者は、決して負けてはいけない。なぜなら、それは不敗のシガ王国の敗北を連想させるから。
  たとえ幻想とわかっていても、敗北は許されない。
  もっとも、わざと負けようとしなくても、魔法抜きだと殿下の方が、やや強いはず。
  奥の手を使わない限り勝ちようがない。使ったら、間違いなく殿下を殺してしまうもの。流石にそれは不味いものね。
  ああ、憂鬱だわ。

 観客席から私の名を呼ぶ声援が聞こえる。殿下への声援もあるけれど、「王子」という称号に惹かれているだけじゃないのかしら。
  勇者の従者になったときに頂いた魔法の鎧チャフタルを身にまとい、迷宮探索中に手に入れた雷の大剣を担ぐ。この鎧は着る者に、身体強化の魔法と同じ効果を与える。魔法回路に魔力を通せば、魔力の盾や狙撃を防ぐための幻術を発動する事もできる。
  試合開始の円陣の中に入る。
  試合開始の合図に合わせて、魔力の盾を発動。続いて、雷の大剣に魔力を通して雷刃を発動する。
  強化魔法を重ねがけする前に嫌な予感がして、横に跳びずさる。
  私がいた場所を、火弾が突き抜ける。
  火弾の杖ファイアボルト・ワンド?
  軍用の兵器じゃない。
  魔法を詠唱しなければいいってものじゃないのよ?
 「懐かしいだろう? 貴様が学院で作ったモノだからな」
  殿下の聖剣が青い軌跡を描きながら襲ってくる。
  なんて、速い。
  聖剣クラウソラスの使い手は空を飛ぶという伝説は本当だったのかも。
  大剣で聖剣の軌道を逸らす。
  重い。手首を痛めそうだわ。御秀堂養顔痩身カプセル第3代
  大剣の刃に纏わせた雷も、聖剣を伝わる事無く宙に散っていく。
  相手が普通の剣だったら、今ので気絶か麻痺状態にさせられたのに。
  お返しとばかりに、大剣を殿下の足に叩きつける。
  聖騎士の鎧が発動している防御膜バリアに大剣を受け止められた。
  さすがに、大国最強の聖騎士の装備だけはある。
  今度は殿下の剣を防ぐのを鎧に任せ、私は攻撃に注力する。
  強打スキル発動。命中や攻撃精度が落ちるけど、今は威力だ。
  魔刃スキル発動。いつもは魔力が勿体無いから使わないけど、今は魔力を温存する意味が無いから。
  大剣が赤い光を帯びる。
  鋭刃スキル発動。殿下を殺す気は無いけれど、殺すつもりでやらないと、あの鎧の防御は抜けない。
 「旋風烈刃」
  必要もないのに技名を叫んでしまう。
  私もハヤトのバカに染まってしまったみたいだわ。
  てっきり防がれると思ったのだけれど、あっさり命中して防御膜バリアを破壊する。
  まずい、このまま刃を止めなければ、勝ってしまう。
  何とか殿下に致命打を与える前に刃を止められた。
  でも、そんな不安定な体勢を殿下が見逃すはずも無く。
  私は鞠のように闘技場の地面を跳ね飛ばされていった。

 歓声と悲鳴と罵声。
  一瞬だけど気を失っていたみたいだ。
  王子が追撃の火弾を連射してきている。殺す気なの?
  どうやら、先ほど剣を止めたせいで彼の肥大化したプライドを傷つけてしまったようだ。殿下の目が怖いくらいに血走っている。
  詠唱の早い破裂クイック・バーストで火弾を爆破して止める。
  でも、私達の戦いは、ここまでだ。
  空に生まれる召喚陣。
  アレハキケンダ。
  頭が割れそうなくらい、直感が危険信号を送ってくる。
  私は、魔法爆破ブラスト・マジックの詠唱を始める。だめだ、殿下は、上空の召喚陣に気が付いていない。私しかみていないんだ。
  殿下の攻撃を回避するために、呪文の詠唱を中断する。
  こんな事なら、さっき刃を止めるんじゃなかった。
  召喚を止める事ができなかった。
  そこに現れたのは、黄色い肌の魔族だ。あの存在感に威圧感、間違いなく上級魔族だ。身長5メートルを超える巨躯が地面に着地する振動で倒れそうになる。
  前にハヤトが言っていた。
  たった一度だけ、魔族から逃げた事があると。
  その時に、仲間の半数がハヤトを逃がすために犠牲になったと悔しそうに言っていた。あの非常識なまでに強いハヤトが遅れをとったなんて信じられなかったけど、今ならわかる。
  アレは桁が違う。
  魔王は、アレより更に強いの?
  無理だ。
  絶対に無理。
  理屈じゃない、魂が叫んでる。今すぐここから逃げたい。
  心が折れそうな私が踏みとどまれたのは、意外な人の言葉のお陰だった。

「魔族よ、いや魔王よ、貴様の命運もこれまでだ」
  殿下、相手の強さも測れないなんて。彼は虚勢を張っているわけじゃない。もし、こんな時に、絶対強者に対して虚勢を張れるくらいの男気があったなら婚約を解消する事もなかったかもしれない。
  魔王は首を傾げた後に殿下の剣を見て興味を抱いたようだ。
 「その剣はクラウソラス、デェスね? ヤマトの子孫デシタか」
  なんだろう黄肌魔族が会話をしながら、何かが咆哮する声が聞こえる。もう一つの首の方か、詠唱しているんだ。
  召喚を妨害するために、詠唱の早い破裂クイック・バーストを、黄肌魔族に叩き込む。
  だめだ。
  威力の弱い下級魔法じゃ普通に手でふせがれてしまう。
  威力よりも速さを!
  詠唱短縮を発動しつつ、爆裂エクスプロージョンを唱える。たぶん、間に合わない。でも只で詠唱させたりしない。
  黄肌魔族の詠唱が完了し、地面に出現した召喚陣から魔物が出現する。ムカデにサソリ、カマキリ、双角甲虫までいる。
  アレを相手にしながら闘えるほど黄肌魔族は、簡単な相手じゃない。さっきの爆裂も大してダメージを与えられなかった。
  そうだ、会場には本戦の出場者やその仲間達がいる。魔物は彼らに任そう。
  拡声の魔法を使って会場の戦士達に呼びかける。
 「勇気ある戦士達よ、協力しあって魔物達を討伐するのだ。魔法使い達よ、攻撃魔法より、戦士達への強化魔法を優先しろ」
  バラバラに魔物と闘っていた人々が、連携を取り始めた。御秀堂 養顔痩身カプセル
  彼らはベテランだ。きっかけさえあれば、魔物なんかに遅れは取らないだろう。
  ムカデ型の魔物が襲って来た。殿下の方にも甲虫型の魔物が襲い掛かっている。
 「ふむ、やはり勇者はいないデ~ス。これは折角の土産が意味ないデスね」
  黄肌魔族がボヤキながら召喚した魔物に強化魔法をかけている。
  せめて殿下が前衛を引き受けてくれたら、強力な魔法が使えるのに。

没有评论:

发表评论