シルバーホーンから首都ルナティックレイクへと続く森の中、車輪と蹄鉄の音を響かせながら舗装された公道を一台の馬車が疾走していく。終極痩身
二頭の早馬で構成されたその馬車は、急を要する際に使われる要人専用の千里馬車と呼ばれる。本来は送迎等に使うものではないが、それだけ早くソロモン王がミラに会いたがっているという事だ。
そんな馬車に揺られながら、ミラは窓の外を流れる景色を眺めながら「これはすごいのぅ、早いのぅ」と初体験である馬車の旅を楽しんでいる。
ゲーム時には、長距離を移動する際には浮遊大陸を利用していたが、現在はそれを利用するためのメニューを開くことが出来ない。メニュー欄から無くなってしまったシステムの項目に浮遊大陸を利用するためのコマンドがあったためだ。
しかし、今のこの世界で浮遊大陸が使えるかどうかは怪しいところでもある。自分の置かれている今の状況のように、より現実的になったと思えばそう悩むものでもないと、少女としての現状を楽しむ事に決めたのだ。
シルバーホーンを出てから二時間弱、ミラは少々落ち着かない様子で視線を泳がせている。その原因というのは先日の夜にも直面した生理現象によるものだ。
特に馬車の小刻みな振動が、下腹部により一層の危機感を与え続ける。そのため、とうとう堪らずにミラは御者台へと顔を覗かせた。
「のう、近くに厠かわやはないか?」
「カワ屋、ですか? 聞いたことがありませんが、何を売っている店でしょうか。もうすぐ山間の街シルバーワンドですので、教えていただければ買って来ますよ」
「いや、店ではなくな……。まあ、あえて言うならば雉をうっているのじゃが……」
「雉、鶏肉ですか。そういえば朝食がまだでしたね。分かりました、少し遅いですがシルバーワンドに到着しましたら朝食に致しましょう」
「ああ、今のは冗談じゃ! 厠じゃよ厠」
「うむむ……申し訳ありませんが、シルバーワンドにそのような名の店は無かったかと」
「じ ゃ か ら! 便所、トイレ、お手洗いの事じゃ! ああ……もうここでも良い、木陰で済ますから止めてくれ!」
「え……、あ……ああ! そういうことでしたか!」
今まで付き合い続けていた身体ならば、まだ持つはずだった。だが少女となった身体は急激に限界を訴え始め、ミラはそれを本能的に感じ取る。このままでは漏らすと。
御者を勤めている軍服の男ガレットの背中を焦りのため幾度となく小突き、森の中適当な場所を指差しながら停止するように催促する。
ミラはゆっくりと歩を緩めていく息の合った二頭の馬が完全に止まる前に飛び降りると、適当な木陰でローブの裾をたくし上げる。
そして、自身の下半身を隠すドロワーズを見て動きを止めた。だがそれは手だけだ。両脚は多少内股になり忙しなく地を踏み鳴らし続ける。御秀堂 養顔痩身カプセル
(どうやって脱げばいいのじゃー)
焦る気持ちとは裏腹に、勝手に穿かせられたドロワーズはミラにしてみれば初めて穿くものだ。当然だが。ゴムなどで腰に留まっているわけではないため、ミラは無理矢理下ろそうとして腰骨に阻まれると、引き千切ろうかと思い立つもギリギリ考え直す。流石に借り物を破るわけにもいかないと。だがそれ以上に、借り物に漏らすわけにもいかなかいため焦りだけが加速していく。
ミラはドロワーズのウエストに指をかけたまま横に引っ張りつつ脱ごうと試みるも失敗。
全身から汗が湧き出すような感覚の中、その細い指がかかった部分が目に入る。そして、なぜこんな当たり前のことに気付かなかったのかと自分の慌て振りに苦笑した。
丁度ウエストのレース辺りに紐が蝶結びされていたのだ。冷静になればすぐに分かる事だったが、慣れない体に初めて尽くしの状況で脳内処理が渋滞してしまっていたのだから無理もない。
分かってしまえばどうということはないが、いよいよもって臨界を向かえる間際だ。急いでそれを解くと膝まで脱いでしゃがみ込み、同時に満たされた開放感に、ミラは大きく胸を撫で下ろす。
二度目の行為によって、もう完全にこの身体をものにしたと思い込んだミラは、早々にその間違いに気付かされる事となる。用を済まし立ち上がりドロワーズを穿き直そうとした時、そういえば女は拭くものだったという事を直前で思い出したからだ。
(どうすればいいんじゃろ)
手持ちには紙はおろか、それに代わる物も無い。念のためアイテム欄も開いてみたが食べ物などは持っての外、いくつかの精錬水晶や素材アイテムくらいしか入ってはいない。
メニューを閉じると、手近なところに代用できるものはないか探し始める。森の中、梢から差し込む光に小さな生き物の発する音。生い茂る草に、可憐な顔を覗かせる色とりどりの花。
一通り見回したミラは大きめな白い花びらを一枚摘むと、再びしゃがみ込み紙の代用として使用した。
「すまぬ、待たせたのー」
ミラが飛び込んでいった辺りを気にしながら、落ち着かない様子で視線を送っていた男の背後から少女が現れる。
多少はずんだ調子のミラの声に、男は後ろめたさからビクリと身体を強張らせると「いいえ、申し訳ありませんでした」と、二つの意味で謝罪を述べる。
「ええっと……一先ず、シルバーワンドで朝食に致しましょう」
「うむ、そうじゃな」
どうやらミラには気付かれていない、そう信じた男は平静を装いながら馬車を再び走らせる。
厠騒動から約一時間。道中は順調で、馬車はシルバーワンドまでもうじきという所を走っている。だが順調なのは道中だけでミラは今、想像だにしなかった苦難に直面していた。
(なんなのじゃこれは、ヒリヒリする。じんじんするー)
馬車の中、ミラは座席の上に転がり今まで経験した事の無い、鼠径部の内側下部の焼けるような痛みに悶える。
違和感を感じ始めた時、その場所から女性特有の何かかと予想した。しかし徐々に酷くなる痛みに堪らずにドロワーズを脱ぎ違和感の元を確認すると、その原因に思い至る。
(毒でもあったんじゃろうか……)
行き着いた答えは、一枚の花びらだ。むしろミラにはそれしか原因が思いつかなかったというのもある。女性特有の症状等だった場合は、想像する事も出来ないのだから。
当たりを付けると、どうにか出来そうな物がないかアイテム欄を開き確認する。そして、いくつか常備していたアイテムの中から一つの薬を取り出す。
それは状態異常を回復し、ある程度の傷を治す事が出来る『万能軟膏薬』という治療薬だ。
ミラは若干の抵抗を感じつつも座席の隅に丸まるように屈むと、縋る思いで軟膏を塗り効果が表れるのを待つ。
程なくして予想は当たり、花びらの毒による症状は軟膏の解毒作用により治癒される。
一安心したミラは座席に転がったまま「もういやじゃ……」と呟いた。
花びら騒動から約十分。馬車が緩やかに停止すると、御者台からガレットが顔を覗かせる。
「ミラ様、シルバーワンドに到着致しました。食堂へ向かいますか? それとも私が何か買って来ましょうか?」御秀堂養顔痩身カプセル第3代
ミラは少しだけ考えると、
「折角じゃ、食堂へ参るとしよう」
いつも通りならば即答で持って来てもらうところを、そう答える。
そもそも今までは大抵の事がVRヴァーチャルリアリティで事足りる生活を送っていた。まともに空の下を歩くのが珍しい程で、仕事はおろか買い物ですらVRで済ますと宅配で送られてくる時代だったのだ。
だが今、この世界は違う。森を歩き人と接し、馬車に揺られる。初めての実感ともいえるそれらは、今までの生活と比べれば圧倒的に不便だ。だがミラは今、その全てを楽しいと感じ始めている。
便利過ぎるという事は人の心を狭くしてしまうのだと感じたミラは、出来るだけ多くを経験したいと思い、馬車から青空の下へと降り立つ。
シルバーワンド。
ルナティックレイクとシルバーホーンの間に位置する山脈の谷にある、農業や林業、採掘などを生業とする者達の街として知られる。
首都と国最大の軍事力の中継地点となっているため、それなりに大きな街で交易も盛んだ。
ミラが今居る場所は、街の商業地区にある駐車場。広い芝生の敷地に数台の馬車が停めており厩舎が並び、そこで馬の世話や餌やり等を行っている。
駐車場は基本的に有料で、利用料が一時間単位で発生するが、千里馬車が停まった区域は柵に囲われた王国専用の駐車場であるため料金はかからない。つまりは王族や貴族、それに関わる特別な者が乗る馬車が停まるという事でもある。
それ故に、駐車場やその付近に居た者達の視線が集まるのも無理はないというものだ。
この場所の管理員をしている男は、少女と軍服の男を交互に目を留め絶句する。明らかに少女の護衛として付き従っているその男、ガレット・アストルの事を良く知っているからだ。馬車専用の駐車場を管理する者だからだけではない、この軍服の男、戦車隊副団長を知らない者はこの街には居ないだろう。
そのような大物が、ただの少女の護衛等をするはずがない。貴族ならば、王族に連なる血筋がせいぜいだ。
もちろん王国軍の大物と共に居る少女にも皆の注目は集まる。その白い肌と艶やかな銀の髪、気が強そうな瞳にリボンが目一杯付いたローブを纏うミラの姿に、誰もが容姿を称える言葉を失う。というよりその少女に見合うだけの言葉が浮かばなかったのだ。皆はただ視野を奪われ、少女だけを無言で見つめる。
シルバーワンドの街は山に囲まれたかのような景観で、ミラは身体をほぐす様に大きく伸びをしながら空を見上げる。
目の端から横切るように飛んでいく鳥を目で追いかけながら、所々の森の中から飛び立つ鳥に視線を移して更に追いかける。そうすると自然に身体がクルクルと回っていたのだが、本人はまったく気付いていない。
駐車場の管理員に戻る時間を伝え馬の世話を頼んでいるガレットの声を何となく聞きながら顔を下げると、周囲から見られている気配に気付き視線を逸らすようにしながら芝生を睨む。
(見られておる。この服は変だと笑っているのじゃ。絶対にそうじゃ)
ミラは自分を嘲笑しているのものだと思い込み、視線から必死に逃れようとしていると、話を終わらせたガレットが戻る。
「お待たせ致しました。ミラ様は何か食べたいものがございますか」
そう訊くガレットに、ミラはその大きな身体の影に隠れるようにしながら「お主のオススメ等で良い」と答える。兎に角、早々にこの場を離れたいと背中を小突く。
「では、私の行き付けへご案内しましょう」
何かに焦るようにガレットをせっつく少女の姿は、親子のような微笑ましさが溢れている。それと同時に、その光景を目にした者達には戦車隊副団長にエスコートされる少女は一体何者なのかという疑問が生まれる。ただ一つ彼らの共通する認識は、きっとやんごとなきお方であろうという事と、今まで出会った中でもとびっきりの美少女だったいう事だ。
駐車場を出て街の大通りから小道に入ったミラとガレットは、一軒の食堂兼宿屋の前に到着する。
「こちらでございます。小さい所ですが、味は保証しますよ」
ミラが見上げたのは一軒の木造の建物。スイングドアには『夕暮れの街角亭』と店名が大きく書かれている。店内が見て取れる西部劇等でよくあるタイプのドアだが、ミラの背では天井しか見えず様子を知ることは出来ない。御秀堂養顔痩身カプセル第2代
「久しぶりに来ておいて小さいだなんて、失礼なこと言ってくれるわね」
突如、背後から聞こえた女性の声に二人が振り返ると、そこには両手に買い物籠を持った二十代程の女性がガレットを睨むように立っていた。素朴だが美人であり三角巾から覗く栗色の髪が肩に掛かる。白と青のエプロンドレスには『夕暮れの街角亭』と刺繍してあり、この店の者である事を主張している。
「おや、シェリー。久しぶりですね」
「ほんとよまったく。もう少し顔出しなさいよね……って、なに!? その可愛い子誰なの!?」
買い物籠を置いたシェリーは、ガレットの隣で見上げるようにしているミラを目に留めるなり、自然な流れで手をその頭に乗せて撫で回す。
「なっ、やめんか!」
シェリーの手を払いのけたミラは、この目の前の女性も自分を子ども扱いする人種だと判断して、ガレットを盾代わりにする様にその身を隠す。
「ふぁぁぁぁーーーん! なにこの子かわいいいいーーーー!」
シェリーはガレット越しに警戒の表情を浮かべる、ミラの小動物のような姿に母性が全開となる。
「この方はミラ様です」
「へぇー、ミラちゃんっていうんだー。可愛いねぇー。ミラちゃーん」
シェリーはより一層表情を緩ませるとにじり寄るようにミラとの間合いを詰めていく。
「シェリー。ミラ様が嫌がってますからその辺にしておいて下さい」
「そうじゃそうじゃ」
影に隠れたまま言葉を続けるミラ。その姿は更に暴走を加速させるものだったが、シェリーはまず嫌われない事を最優先とし自制する。
「ねぇねぇガレット。それでミラちゃんと何してるの?」
「ルナティックレイクへお送りしている途中なんですが、朝食がまだでしたので」
「それでうちに来たってわけね。良くやったわ」
シェリーは買い物籠を持ち直すとスイングドアを開き、二人を案内する。
「ほら、カウンター席が空いてるから待ってて。……ってミラちゃんまだ怒ってる?」
シェリーはガレットの影に隠れたまま、まだ警戒を解いていないミラを少し残念そうな表情で見つめる。
「ミラ様はこの程度の事で怒るような方ではないと思いますよ」
ガレットの言う通り、ミラは怒っている訳ではない。ただ、単純に子ども扱いされるのが恥ずかしいだけだ。
だがしかし、女性に寂しそうな顔をさせるのは自分の意に反するとして、ミラはガレットの影から出る。
「わしを子供扱いせぬようにな」
そう一言だけ伝えた。だがシェリーには、それが大人振りたい少女の様に見えてしまい、今度は思いっきり抱きしめたい衝動に駆られ、それは一瞬で限界を振り切った。
「ミラちゃん可愛い!」
言われた傍からシェリーは買い物籠を投げ出すと勢いに任せて飛びつく。ぎゅっと抱きしめられたミラは、直接的な愛情表現であるため無理に振り解く事も出来ず「もう好きにせい……」と溜息混じりに呟いた。韓国痩身一号
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